Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

新宿高層ビルにてランチ、そして久しぶりに都庁の展望室へ

SOMPO美術館を訪れる時に、今までは損保ジャパン本社ビルの駐車場に止めていたのだが、最近はお隣の新宿野村ビルの駐車場に車を止めるようになった。50階にあるホテルオークラのレストラン「デューク」で、高層からの眺望を楽しみながらランチするのが、ちょっとしたお気に入りになってしまったのである。お隣の和食「星空の中へ」はかなり混雑しているが、「デューク」は人も少なくてゆったりとした時間を過ごすことができる。ホスピタリティも高い。

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いつものようにランチプレートを注文。パンも美味しいし、ノンアルコールのスパークリング・ワインがあるのも嬉しい。

当初の思惑通り、駐車券を発行してもらったのだが、その日の最大駐車料金までカバーしていると言う。せっかくなので、久しぶりに西新宿の高層ビル街を散策、そして何年かぶりに都庁の展望室に上ってみた。

虎ノ門・麻布台プロジェクトのおかげで(せいで)、東京タワーがほとんど隠れて見えなくなってしまっている。

印象派以降のフランス絵画史・美術運動を辿る「スイス プチ・パレ美術館展」(SOMPO美術館)

SOMPO 美術館で開催されている「スイス プチ・パレ美術館展 印象派からエコール・ド・パリへ」を見に行く。スイスのジュネーヴにあるプチ・パレ美術館は、19世紀後半から 20世紀前半のフランス絵画を中心とした作品を収蔵している。

www.sompo-museum.org

今回の展覧会では、印象派以降のさまざまな美術運動を大きく 6つに分けて、その特徴のわかる作品を展示している。以下の解説は、今回の展覧会の鑑賞ガイドに基づいている:

  1. 印象派
    • 伝統の主題や表現手法を否定し、新たな絵画を探究する画家たちが、官展に対抗すべく 1874年に自分たちで展覧会を開催。
    • その際の皮肉交じりの批評をもとに、この画家たちは印象派と呼ばれるようになった。
  2. 印象派
    • スーラやシニャック印象派の色彩分割をもとに、点描表現を生み出した。
    • 様々な画家による点描の作品が展示されている。
  3. ナビ派とポン=タヴァン派
    • フランス北西部ブルターニュ地方にある小さな村がポン=タヴァン。ここに滞在したゴーギャンと周囲の若い画家たちをポン=タヴァン派と呼ぶ。
    • 伝統的な絵画からも、印象主義からも距離をとり、輪郭線で色面を囲む平面的な表現方法で、自身の想像力と描かれるものの外観を統合しようとした。
    • その影響を受けたパリの若手画家たちがナビ(ヘブライ語で「預言者」の意味)派を結成した。
    • 象徴主義の流れに属し、装飾的な表現を追求、神秘主義・宗教・文学に関連した内容を好んだ。
    • その代表と言えるドニにとって、重要な主題は家族であった。
  4. 印象派からフォーヴィズムまで
    • 印象派は厳格な分割主義の原理から遠ざかり、点描に代わる長めのタッチや自由な色彩表現を採り入れた。
    • これが広がったのがフォーヴィズムである。その大胆なタッチと鮮やかな色彩が「フォーヴ(野獣)」と批評された。
    • 数年の活動の後に終焉を迎え、画家たちはそれぞれ独自の道を歩んでいく。
  5. フォーヴィズムからキュビズムまで
    • フォーヴィズム最後の展覧会が 1907年に開催されたが、そこでセザンヌの回顧展も併せて開催された。
    • これがきっかけとなり、画家たちの興味は色彩から、空間と量感の表現に移っていった。
    • キュビズムを牽引したピカソは複数の視点から対象物を捉え、そのイメージを組み合わせることで、絵画上に現実を再構築することを試みた。
  6. ポスト印象派とエコール・ド・パリ
    • パリには、印象主義をはじめとする前衛的な運動から距離を置いた画家たちもいた。
    • 両大戦間の時期に、特定の技術運動に属さず、明確な主義や信条を立てない画家たちをエコール・ド・パリと呼ぶ。
    • 第一次世界大戦前はモンマルトルが、戦後はモンパルナスが主な拠点となり、貧しい人々や労働者に共感し、その日常を描いた。
    • 1920年代には装飾芸術が注目されると同時に、古典絵画に立ち返ろうとする「秩序への回帰」と呼ばれる傾向があった。

出展作家一覧

名も知らぬ画家たちの作品が多いが、6つの美術運動に特徴的な作品が多く、非常にわかり易い展覧会であり、勉強になった。スーラやシニャック以外にも多くの画家が点描に取り組んでいたことを改めて知ったし、ナビ派モーリス・ドニが、家族を描く時の色彩が明るいのが少し意外であった。

ドニ《休暇中の宿題》 1906年

SOMPO 美術館所蔵の印象派の作品は写真撮影が可能となっている。

ルノワール《浴女》 1892-93年頃

ルノワール《帽子の娘》1910年

ゴッホ《ひまわり》1888年

上野の美術館巡り:東京都美術館「芸術 x 力 ボストン美術館展」から、東京藝術大学大学美術館「日本美術をひも解く」へ

上野の美術館巡り。まずは東京都美術館「芸術 x 力 ボストン美術館展」へ。

www.ntv.co.jp

古今東西の権力者たちが、その力を誇示・維持するために芸術の力を利用してきたということで、その肖像画であったり美しい工芸品であったりが、ボストン美術館のコレクションから展示されている。中には日本にそのままあれば、国宝になったであろうと言われる作品も、里帰りしている。鎌倉時代の《平時物語絵巻 三条殿夜討巻》や、江戸時代の大名・増山雪斎によって描かれた《孔雀図》などである。これらはおそらくフェロノサや岡倉天心によって、米国に運ばれたものなのだろう。

朝一番の回を予約して出かけたが、思いのほか、空いていた。この展覧会は「目玉」となるような作品が少ないからかもしれない。美術作品というよりは、歴史資料の要素も多く、この展覧会は、正直、僕にとっては難しいものだった。なぜなら古今東西、世界史の知識が要求されるからである。作品を理解するための背景知識が不足していた。

都美をあとにして、東京藝術大学大学美術館の特別展「日本美術をひも解く」へ向かう。宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の皇室の至宝に、藝大のコレクションを加えて、日本美術の流れを辿る展覧会である。国宝や重要文化財となっている作品も含まれている。

こちらはかなりの人出である。夏休みと言うこともあって、家族連れも多い。国宝である伊藤若冲の《動植綵絵 向日葵雄鶏図》は 8月 30日からの展示で、今回見ることはかなわなかったが、狩野永徳《唐獅子図屏風》や酒井抱一《花鳥十二ヶ月図》などを楽しむことができた。

tsumugu.yomiuri.co.jp

早起きしての美術館巡りでお腹もすいたので、大学美術館のカフェでランチ。ホテルオークラの OB シェフと思しき方がキッチンにおられて、カレーやグラタンと言った洋食が提供される。

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まさに熱狂の夜!石田泰尚スペシャル第4夜は石田組による弦楽アンサンブル(ミューザ川崎)

石田泰尚スペシャル、7月の第3夜(カルテット)に続き、第4夜を聴く。今回は石田組による弦楽アンサンブル。パンフレットの宣伝文句に書かれた通り、まさに「熱狂の夜」となった。

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石田組は、石田泰尚さんの呼びかけにより結成された弦楽合奏団で、石田「組長」が信頼を置く首都圏のオーケストラメンバーを中心に、公演ごとに「組員」が召集される。今回は弦楽が 13人、そこに石田組の編曲担当でもある松岡あさひさんのチェンバロを加えて 14人という構成であった。

クラシックに始まり、映画音楽、ロック、ポップスと、親しみ深い曲が、グルーヴ感豊かに、つまりノリノリで演奏され、めちゃくちゃ楽しいコンサートである。今回の曲目は次の通り:

メリハリの効いた「四季」、美しいシベリウスなどクラシックの名曲を堪能した後に、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ニュー・シネマ・パラダイス」のお馴染みのメロディーが心地よい。そしてクイーン、オアシス、レインボーといった往年のロックの名曲に魅了される。

アンコールはサービス精神溢れ、何と4曲も演奏してくれた:

最初から最後まで、観客を巻き込んでのノリノリの演奏は、本当に楽しかった。

この「熱狂の夜」の様子は撮影・録音されていたが、どうやら CD にする計画があるらしい。興奮のライヴ公演は、ぜひ全曲フルバージョンの映像で再現されることを期待している。

そうそう、MC 担当のチェロの西谷さんによれば、石田さんは『音楽家である前に、人間であれ!』という本を書いた。出た直後は Amazon で 1位になったものの、その後すぐにオカリナの入門書に抜かれたそうで、組長は「オカリナに負けるなんて」とご立腹であったとのこと。その後、再び 1位になっているので、この話を聞いた 2,000人もの聴衆の方が Amazon で購入されたに違いない。

ミューザ川崎シンフォニーホールの今日の席は 4階のロビー席。石田組の皆さんをちょうど上から見下ろすような形。身を乗り出すとちょっと怖いくらいの高さだが、背中側は木の壁になっているので、後ろの人が気になることもない。意外と穴場でいい席だと感じた。

板谷波山の多彩な陶芸に魅了される(出光美術館)

夏休みの美術館巡り。横浜そごうでのランチの後は、改装していた出光美術館を久しぶりに訪ねる。「生誕150年 板谷波山 -- 時空を超えた新たなる陶芸の世界」展。

その多彩な陶芸に心を奪われる。美しい器の形、多様な彫り紋様に、釉薬を使い分けることで美しい色を出す。当時のアール・ヌーヴォーの様式を参考にしたということらしいが、今でもモダンな印象を受ける。

その釉薬による彩色にはさまざまな命名がされている。特に葆光彩磁と名づけられた手法には「光のきらめきを隠す」という意味があり、透明度を落としてマットのような色調が実現されている。淡い色使いとあいまって、独特の魅力を醸し出している。

僕には珍しく陶芸の展覧会の図録を購入してしまった。波山という名前は、故郷の下館から見える筑波山に因んでいるとのこと。図録にこの展覧会の概要紹介があるので、引用する。

近現代陶芸の旗振り役の一人として評価される板谷波山(本名・嘉七、1872 - 1963)の生誕150年を記念して、その生涯と作品を紹介する回顧展を開催します。 彫刻的な技法と釉下彩(ゆうかさい)の技法に加えて、当時欧州で流行していたアール・ヌーヴォーの様式をいち早く受容し、それまでの日本陶磁史にない新しい波山独自の意匠表現を生み出した彩磁(さいじ)や葆光彩磁(ほこうさいじ)。一方で中国陶磁を中心に古典的な東洋の陶磁器をはじめとする工芸品を学習し、そこから青磁白磁などにも新しい表現を試みました。その表現の幅は一人の陶芸作家により生み出されたとは思えないほど、多様かつ創造性に溢れています。それは西洋や東洋、古典や現代を感じながら作陶し、模倣ではない独自の表現を求めていた軌跡であり、その結果、波山の作品は時空を超えた新しい陶芸の世界を創り出したとも言えます。彼の陶芸による表現の世界観は高く評価され、昭和28年(1953)には陶芸家として初めて文化勲章を受章しました。出光美術館の創設者である出光佐三(1885 - 1981)は、波山のやきもののみならず、その生き様にも魅了され、多くの波山作品を収集したことでも知られています。 本展では、波山の作陶への思いと作品の変遷を辿り、今でも色褪せることのない波山陶芸の魅力を紹介します。

さて出光美術館と言えば、数年前、ジョー・プライスコレクションを購入したことで話題になった。来年の年明けにはいよいよそのコレクションの展覧会が始まる。楽しみであるが、きっと混雑するんだろうなぁ。

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美しい天空の写真に心が洗われる「KAGAYA 星空の世界」展(そごう美術館)

夏休み初日は、ぐるっとパス東京駅周辺美術館共通券を活用しての展覧会巡り。そごう美術館と出光美術館を訪ねる

まずは横浜・そごう美術館で開催されている「KAGAYA 星空の世界」展。美しい天空の写真に心が洗われる。

日本全国、そして全世界を巡って、美しい写真を撮影している。

KAGAYA さんのベスト写真集『Starry Nights — the Best of the Best』や、星空の撮影法を説明した『星空の楽しみかた 見る・撮る』はおススメである。展覧会でもその撮影の裏側を明かしたビデオが上映されていたが、緻密な準備のもと、夜空のきらめきを捉えていく様子がわかる。

美しい星空を堪能した後は、夏休みということで、プチ贅沢なイタリアンのランチを、Al Porto Classico にて。

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暑さ対策あれこれ

日本列島各地で 40度という気温を記録する日々。横浜は早朝でも 30度という暑さ!先週はワクチンの副反応もあり、ほぼ1週間ぶりのジョギングとなったが、心拍数が 128未満、有酸素運動となるようにペースを落として走る。

西日の入る部屋は、午後エアコンをかけていても暑くなる。1ヶ月前に発注した暑さ対策グッズが、Amazon からようやく届いた。28度でも凍るという冷感商品である。

早速、冷蔵庫で凍らせて、首に巻いてみた。炎天下の屋外用(要するにゴルフ)に買ったグッズだが、暑い部屋の中でも効果はある。