会社で研修中に推められた本が 「会社はこれからどうなるのか」 とその続編 「会社はだれのものか」 である。
法人という「ヒト」と「モノ」の二面性を持つ側面を踏まえて法理論の立場から、会社とは何かを整理する。いわゆる「日本的な」資本主義の側面を考えた際に、そしてまた「ポスト産業資本主義」の時代に、株式会社を単純に株主のものと結論づけてしまってよいのか、問題提起する。
本来「モノ」ではない企業を「ヒト」として扱う、すなわち法人化することにより、「株主が会社を所有する」ことと「会社が資産を所有する」こととの二重構造ができあがった。前者に注目するとアメリカ的な株主主権論になるし、後者に注目すると社会の中でヒトのように活動する会社の姿がクローズアップされる。一方「ポスト産業資本主義」の時代には、「差異化」により価値を生み出すことが重要であり、アイディアの源泉である人的資産こそが大切になる。そのときは単純に株主主権論では片づけられず、個人の力を結集させる組織としての会社にフォーカスするべきである。
このように一度、原点にもどって会社とは何かを考えるキッカケを与えてくれる本である。前著のエッセンスを図を示しながらまとめている続編の方が、手っ取り早く議論を追いかけることができよう。
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