Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

新書

引越しをきっかけにリビングルームに本棚を置き、家族で共有するようにした。そこに自分だけでなく、子供にも読ませたいと考えて買った本が、少しづつ増えてきている。新書が多い。ここ数年ほとんど新書を読まなかったのだが、入門書やガイドとして読みやすいものが多いことに、改めて気づいた。リビングの本棚から最近読んだものをいくつかを選んでみると…。

今夏は水族館によく出かけた。 「水族館の通になる―年間3千万人を魅了する楽園の謎」は、「ジンベエザメをどうやって水族館まで運ぶのか」「ピラニアの水槽の掃除のときに噛まれないのか」といった、水族館に関する日ごろの疑問に答えてくれる。世界一受けたい授業のネタ本でもある。

中学生のときに 「新しい地球観」という本で、大陸移動説とプレートテクトニクスを学んだ。「地球の内部で何が起こっているのか?」の前半では、その後30年を経てさらに進んだ最新の地球観がまとめられている。後半はマントルまで地球を掘り進めるというメガプロジェクトの紹介であり刺激的である。

羽生善治さんの「決断力」は最強棋士の頭の中で、どういう思考が行われているのかという興味をかきたててくれる。

「世にも美しい数学入門」は、数学者の藤原正彦先生(新田次郎藤原ていのご子息でもある)と「博士の愛した数式」を著した小川洋子の対談集。江夏の背番号が完全数という着想から素敵な物語を生んだ作家が、数学の美しさ・魅力に迫っていく。

生物は暗記ばかりでつまらない。そう思っていた学生時代。分子生物学をきちんと学ばなかったのは本当に残念である。「新・分子生物学入門―ここまでわかった遺伝子のはたらき」のような本に出会っていれば…と思う。

脳科学の発展も刺激的である。「進化しすぎた脳中高生と語る「大脳生理学」の最前線」も、子供の勉強に役に立つかと思って買った本であるが、実は僕にとっても非常に啓蒙的な本であった。専門的な内容を平易に説明するばかりか、最新の研究成果や著者自身の哲学も随所に織り込まれている。同じ著者によるブルーバックス「記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」「海馬―脳は疲れない」 も、海馬を中心にした記憶のメカニズムを説明している。

分子生物学による脳、そして精神の解明ということでは、10数年も前に読んだ本だが、「精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか」が、今読んでも面白い。科学とは何か、研究とは何か、一流の研究者とは何者か。ノーベル賞受賞者の哲学に触れることができる。

理科系で大学受験をしたが、世界史の授業が面白く、共通一次試験向けに山川の教科書「詳説世界史」を読んだ。そして興味あるところは中公文庫の「世界の歴史」シリーズを読んだものである。そういえば村上春樹はこのシリーズを全巻、何度も読んだとどこかで書いていた。最近は 「NEW青木世界史B講義の実況中継」のような講義録シリーズが人気らしい。学校の面白かった授業を思い出す。

水族館の通になる―年間3千万人を魅了する楽園の謎 (祥伝社新書) 地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書) 決断力 (角川oneテーマ21)
世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書) 博士の愛した数式 新・分子生物学入門―ここまでわかった遺伝子のはたらき (ブルーバックス)
進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線 記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス) 海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫) NEW青木世界史B講義の実況中継 (1) (The live lecture series)