5月の連休にカズオ・イシグロの小説を2冊読んだ。「わたしを離さないで」と「わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)」。いずれも緻密に構成されている。読み進むにつれ次第に謎解きがされ、最後にすべてが明かされる。主人公は真実を静かに受け入れていく…。物語のラストでもの哀しく取り残されたような孤独感を味わう。不思議な魅力にあふれた小説である。
友人に薦められて「日の名残り (ハヤカワepi文庫)」を読んだのが、カズオ・イシグロとの出会いになる。英国の上流階級の執事が人生の黄昏時を迎えて旅に出る。旅の途中、執事として理想とする生き様・価値観、それに従って生きてきた自分を回想する。そして旅の最後に、今までずっと自分が信じて生きてきたものが何だったのかをはじめて理解する。
僕がグレアム・スウィフトを読んでいるのを見て、友人はカズオ・イシグロを薦めてくれた。いずれも回想の旅を描いた小説であり、きっと僕が気に入ると思ったのだろう。本好きの趣味のよい友人に感謝、である。
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