Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

駅前探険倶楽部(駅探):社長の素顔

10月25日の日経新聞夕刊「フォーカス」というコーナーに、駅前探険倶楽部(駅探)の社長、中村太郎さんのインタビュー記事が掲載された。社内ベンチャーでインキュベートした事業とともにMBO (Management Buy-Out) で独立する中村さん。少年のような笑顔の写真が掲載されているが、実は社内で随一の戦略家である。

10年くらい前、僕が研究所にいた時に初めて中村さんと仕事をしたが、シリコンバレーの IT 企業相手に次々と提携を実現させてきた交渉力の一端を見て、舌を巻いたことがある。複数のケースに対応するシナリオが常に準備されている。一つ一つのシナリオが論理的で筋が通っている。Sun との技術協業も、彼なしではできなかった。

2000年にインターネットビジネスの社内カンパニーが設立され、同じオフィスで仕事をする仲間となり、中村さんの優秀さをさらに間近で見ることになる。大きな事業シナリオを描き、それを次々に実行に移していく。表層的な現象に惑わされることなく、事象の本質的な構造をつかみ、解決策を打ち出していく。感情的になりがちな僕と違い、中村さんはどんな状況にあっても冷静さを失わない。戦略家であると同時に、優秀な実務家でもあるのだ。

その中村さんがいよいよ独立する。彼と一緒に仕事ができる機会が少なくなり残念に思う。今後は基本的に少数株主という立場での付き合いになるからだ。しかしこれからも一緒にインターネットビジネスを作り上げていく仲間として、そして一人の友人として、荒波に漕ぎ出す彼を今までと変わりなく応援していくつもりである。