Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

ジェフリー・ディーヴァー、山崎豊子、佐藤優

年末の納会で、ある方がジェフリー・ディーヴァー四肢麻痺の科学捜査官「リンカーン・ライム」シリーズ、特に最新作「ウォッチメイカー」の面白さを力説されていたこともあり、新年早々、最初に読み終えた本が 「ボーン・コレクター」となった。後半のスピーディなどんでん返しの連続が気持ちよかった。これからしばらくは「リンカーン・ライム」シリーズで楽しめそうだ。

実は「ボーン・コレクター」は映画の方しか知らなくて、原作者のジェフリー・ディーヴァーの名前さえ知らなかった。数年前 DVD で映画を観たのだが、寝たきりのデンゼル・ワシントンと、最初の死体発見現場のシーンぐらいしか記憶に残っていなかった。原作を読んだ後、改めて見直してしてみたのだが、陰惨な死体発見現場にフォーカスしたホラー映画のような演出で、原作にあったスピーディな展開はまったくと言ってよいほど失われていた。これでは印象に残っていないのも無理はない。

ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫) ボーン・コレクター〈下〉 (文春文庫) ボーン・コレクター [DVD]

そして「コフィン・ダンサー」。前作「ボーン・コレクター」に勝るとも劣らないどんでん返し攻撃を食らう。最後の最後まで息をつかせない展開が見事である。

コフィン・ダンサー〈上〉 (文春文庫) コフィン・ダンサー〈下〉 (文春文庫) ウォッチメイカー

このところ同じ作家の小説をまとめて読むことが多い。去年の 12月は山崎豊子だった。 「沈まぬ太陽」をかなり前に読んで以来である。最近、医療小説(「チーム・バチスタ」シリーズ)やドラマ(「医龍」)にはまっていた僕を見て、同僚が「医療系なら何をさしおいても『白い巨塔』です。原作もいいし、ドラマも田宮版・唐沢版どちらもいいです。」と勧めてくれたのである。

まったくその通りで、「白い巨塔」の 原作、そして DVD(唐沢版)、いずれも睡眠時間を減らす大きな原因となってしまった。

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫) 白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫) 白い巨塔 DVD-BOX 第一部 白い巨塔 DVD-BOX 第二部

勢いをかって 「華麗なる一族」も読破。山崎豊子のリサーチ力、必ずしも善が勝つわけではないリアリティのあるストーリーに感服する。

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫) 華麗なる一族〈中〉 (新潮文庫) 華麗なる一族〈下〉 (新潮文庫)

そして「事実は小説よりも奇なり」、ノンフィクションの面白さを改めて印象づけてくれたのが佐藤優 「国家の罠 ― 外務省のラスプーチンと呼ばれて」である。文庫になって初めてこの人の本を読んだのだが、もっと早く読んでおけばよかったと後悔した。この本では、著者と検事との丁々発止のやりとりが圧巻である。「国策捜査」を「時代のけじめをつけるために必要」と言い切る検事の考え方は新鮮。善悪の基準がその時代における人々の考え方で大きく変わるという現実の空恐ろしさを改めて突きつけられる。

ジェフリー・ディーヴァー山崎豊子佐藤優…。僕が浅学菲才のために読んでいなかった著作家たち。いずれも精力的に作品を残しているので、当面、読む本がなくて困ることはなさそうだ。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)