Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

読書法:本は10冊同時に読め!、本を読む本

マイクロソフト(株)社長の成毛眞氏による 「本は10冊同時に読め!―生き方に差がつく「超並列」読書術本を読まない人はサルである!」。これだけ反発を覚える読書法の本はないだろう。「庶民と同じことをしていては庶民にしかなれない。」このようにあえて極端な表現を使って読者を煽っている。庶民と違う読書のしかた、すなわち10冊並列に読むことで庶民を脱せると説く。多読することで頭の中のネットワークをはりめぐらせ、アイディアを出す源とする、グローバルに活躍するための教養を身につける、本で人生を豊かにする…。言っていることは至極まともである。しかしそのことば遣いには心安らかではいられない。確かに著者自身が明言している通り、類書には見られないユニークな読書法の本である。

こんな本は嫌だ、心静かに教養書の読み方に耳を傾けたい人には、 「本を読む本」(原題:How to Read a Book)である。情報を得るための読書と理解を深めるための読書を区別し、後者すなわち自分の理解を上回る本を読んで学ぶ読書法について、「初級読書」「点検読書」「分析読書」「シントピカル読書(比較読書)」という四つのレベルの技術を丁寧に解説する。自分にとっての良書とどう出会い、それをどう徹底的に読みこなすか。真摯な読書のあり方を示している。

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)