Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

量を質に変える

実践の数をこなすことで、さまざまなスキルを身につけることができると思う。たとえば英語。機関銃のように聞こえるニュース放送を、わからないままでも何度も繰り返して聴いているうちに、少しづつ耳が慣れて聞き取れるようになる。音の塊に過ぎなかったものがいつしか文章として聞こえるようになる。あるいは将棋。駒の動かし方を覚えたら実際に戦ってみる。試合を重ねることで将棋が指せるようになる。本などで定跡を学び、さらにそれを実戦で試してみる。それを繰り返すことでだんだんと強くなる。そういえば読書もそうだ。一つの本を精読するだけでなく、同じことについて書かれた本を何冊かまとめて読むことで、一冊読んだだけではわからなかったことがわかるようになる。特に新しい分野の本を初めて読むときなどは多読が効く。

このようにあれこれ考えずに、ひたすら数をこなすことで、気がつくといつの間にか知識やスキルが身についている。量が質となって返ってくる瞬間である。

これはビジネススキル、たとえば営業についてもあてはまると考えている。今週、関係会社の経営陣と営業戦略の議論をしていたとき、「検討している提案内容の仮説が正しいか、どうやって検証したらよいか?」という話になった。その時僕が言ったのは次のようなことだった:

「もう十分考えたのではないか?商品の訴求ポイントも、アタックすべき顧客リストもあるのだから、もうあれこれ考えることはない。すぐアポをとろう。どんどん提案しよう。数をこなせば、顧客のリクエストも予測できるようになるし、提案内容もそれに合わせて変えられる。仮説も検証できる。会う顧客が増えれば増えるほど、ネットワークも広がるし、自然と見込み客も増える。営業として一段上のステージに進めるはずだ。」

もちろん行動する前によく考える必要はあるが、既に十分考えたのであれば、あとは実行するのみ。「頭よりもからだを動かせ」である。お客のところに行く前にあれこれ悩むよりも、アポをどんどんとって、実際に提案を重ねながら考えを修正していけばよい。走りながら考える。実践を数多く積むことで、営業スキルはおのずと向上していく。そこに必ず売上はついてくる。量を質に変えていって欲しい。