Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

工学部・応用物理系の同窓会

大学の専門課程である工学部・応用物理系の同窓会があった。しかも転職・退職した人も含め、一度は同じ電機メーカーに勤めた人たちの集まりである。

応用物理のいいところは、物理・計測・数理と、同じ工学でも毛色の違う人たちがいることだろう。在学の頃は「体力の物理、手先の計測、口先の数理」と自らを揶揄して区別していたほどだが(もちろん僕は口先の数理である)、同じメーカーに勤めていてもやっている仕事はさまざまだ。

物性の研究をやっている人もいれば、金融工学をやっている人もいる。画像処理のソフトウェアを書いている人もいれば、僕のようにインターネット事業をやっている人間もいる。半導体知財のプロもいれば、経営企画スタッフもいる。独立してコンサルタントになった人もいれば、外資系に転職した人もいる。

率直に言って、若い時はこういう同窓会の意義をあまり感じなかった。幹事も「いい経験」と考えてやったが、「やらされ感」があったのは否めない。こういう社内のネットワーク作りが自分にとってあまり意味のあるものに思えなかったのが正直なところである。

今思うに、若い人たちが気軽にビジネスマンの先輩と話す貴重な機会を提供していると思う。中には役員経験者もいて経営者としての経験談を聞くこともできる。また森健一さんのような MOT 大学院の教授と気軽に話をできる。これは自ら作ろうと思ってもなかなか作れない機会だろう。一方、諸先輩の方々も、若い人たちを応援したいと思っている。

僕もそうだったからよくわかるが、若い時は気後れがしてなかなか偉い人には話しかけにくいものである。一介の担当者・研究者に過ぎない自分が、役員とか他部署のマネジャーに話しかけるなんて、と考えてしまう。でも実のところ偉い人は若い人たちと話したがっているのだ。だから思い切って話しかけてみると、案外気さくに話を聞いてくれるものである。

そもそも話題が思い浮かばないかもしれないが、それは何でもいいのだ。自分の研究テーマでもよいし、注目している自社製品とかライバル会社の話でもよい。今ハマっている趣味とか読んで面白かった本でもよいかもしれない。若い人が何に興味を持っているのか、偉い人は知りたがっていたりするのである。

… なんてことは、今だから言える。僕も畏れ多くて諸先輩方となかなか話をすることができなかった。今でも立食パーティなどのネットワーキングの場は苦手だが、こういう同窓会や社内のパーティなどを練習場として活用しておけばよかったと思う。

諸先輩の集まる同窓会・OB会 --- そういう機会があるのなら、遠慮せずにいろいろな人に話しかけてみることをお奨めしたい。