本格的な英語辞典を小さなボディに収録した電子辞書：SR-G7000M

ここ数年、電子辞書の進化がめざましい。ビジネスで通じる英語を習得する観点から、僕の場合、ビジネスマン向けで、かつ英語学習者に定評のある辞書が収録されているものを選んでいる。

５年前に「英語重視」といわれるモデル（カシオXD-V9000）を買った時は、ロングマン現代英英辞典（LDOCE = Longman Dictionary of Contemporary English、オンライン版）に、リーダーズ英和とリーダーズ・プラス、それに広辞苑がすべて薄い筐体に収まっているだけで嬉しかったし、電子辞書市場全体でもその機種が英語強化モデルの中で上位に位置づけられていた。それが今や最上位の「英語プロフェッショナル」モデル（カシオだと XD-GP9700、セイコーインスツルだと SR-G10000 や SR-G9000）には、ランダムハウスのような大英和辞典やネイティブスピーカー向けの英英辞典などが多数収録され、英語で仕事をしている人たちにも十分使える内容となっており、隔世の感がある。

昨年、カシオの「英語スタンダード」モデル XD-SW9400 を購入した。オックスフォードの辞書が充実しており、ネイティブ向けの ODE（Oxford Dictionary of English）、英語学習者向けの OALD（Oxford Advanced Learner's　Dictionary、オンライン）の他、シソーラス（類語辞典）、コロケーション（連語辞典）が入っている。５年前に買った機種と比べると、コンテンツの充実度もさることながら、リーダーズ、ジーニアス英和大辞典、英和活用大辞典など複数の辞書を一度に検索して語義を比べられるのが、大変便利である。この複数辞書検索と辞書間ジャンプを組み合わせて、関連語・気になったことばをどんどん調べて読み進めることができる。この辞書を片手にハリポタ最終巻、"Harry Potter and the Deathly Hallows" を読み終えた。この機種の英英辞典のラインナップは、僕にとってちょうどよいレベルである。

CASIO Ex-word (エクスワード) 電子辞書 XD-SW9400 日中韓対応手書きパネル搭載音声対応 33コンテンツ収録英語上位モデル

出版社/メーカー: カシオ
発売日: 2007/02/09
メディア: Personal Computers
購入: 1人クリック: 7回
この商品を含むブログ (1件) を見る

今年になって、この XD-SW9400 とほぼ同レベルの辞書が収録され、かつ携帯性に優れた電子辞書がセイコーインスツルから発売された。SR-G7000M である。従来の SR-ME7200 という機種と比べて、画面が高精細になり（640x480ドット）、薄く軽くなった（145 グラム）。そのかわり専用の充電池を使い（乾電池駆動ではないので、いざという時に電池を買いに走れない）、キーボードが縦横格子状の配列であるという懸念点もあったのだが、ワイシャツのポケットにも入るスリムな筐体と英語辞書の内容が気に入り、さっそく購入した。

買った時に充電して以来１ヶ月ほど持ち歩いているが、いまだにフル充電状態で稼動しており、乾電池駆動でなくてもあまり心配ないということがわかった。キーボード配列は慣れの問題だが、やはり標準的な配列でキートップには大文字を刻印して欲しかったというのが正直なところで、そのあたりは商品レビューコラムなどでも指摘されている。

しかしオックスフォードの英語辞書をはじめ、大辞泉やブリタニカ百科事典など、僕には十分過ぎるほどのコンテンツの充実ぶりであり、そのうえいつも鞄に入れておいても苦にならない携帯性と、読み易い高精細の画面にとても満足している。SR-G7000M のオックスフォード辞書だが、COD (Concise Oxford English Dictionary) が収められている。カシオ（XD-SW9400）の ODE (Oxford Dictionary of English) と引き比べてみると、語義は同じでも例文が少なくなっていることがわかるが、OALD の例文も同時に確認することが多いので、ふだん僕が使う分にはほとんど問題がない。

これだけ小さいと、オフタイムの旅行などにも持ち歩きたくなる。そこで旅行用コンテンツカードを常用することとした。コンテンツカードを挿入すると「ツイン検索」（画面を分割して複数の辞書の検索結果を表示）など一部の検索機能が使えなくなるが、今後改良されることを望みたい。その他の拡張用コンテンツカードとしては、コウビルド英英辞典（Collins Cobuild）に興味がある。英語学習者向けに定評のあるコウビルド英英辞典を収録している電子辞書が意外と少ないからである。コンテンツカードの辞書もできるだけ最新のものにバージョンアップしてもらえるとありがたい。

いくつか改良要望点も挙げたが、SR-G7000M はいつも持ち歩ける小さいボディの中に、英語学習者に定評のある辞書をバランスよく収録しており、ビジネス系・英語系の本格的な辞典を持ち歩きたいという方にお勧めできる電子辞書である。