他人の勉強法の本を読むより、さっさと机に向かって勉強するのが正しい態度だとは思うが、竹中平蔵元大臣の勉強法ということもあり、『竹中式マトリクス勉強法』を思わず買ってしまった。優秀な人がどういう勉強をしてきたのか知りたくてその著書に目を通すのは、小説家のふだんの生活を知りたくてエッセイを読むのに通じるものがある。
彼は勉強の方向性を大きく二つに分けて考えている。一つは MBA や英語など「人生を戦い抜く武器としての勉強」、もう一つは「人間力を鍛え、人生を豊かにする勉強」である。さらに勉強の目標に到達点があるかどうか、つまり天井があるかどうかという観点で分け、4象限からなるマトリクスに勉強を分類する。自分がめざすこと・やりたいこと次第で、それにふさわしいさまざまな勉強のやり方があることを示し、長期のビジョンと短期の目標のために、どういう優先度でやるべきか、勉強の計画を立てることを勧めている。
天井がある | 天井がない | |
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人生を戦うための 武器としての勉強 | A 記憶勉強 | B 仕事勉強 |
人間力を鍛えるための 人と人とを結ぶ勉強 | C 趣味勉強 | D 人生勉強 |
そして、勉強法について9つ、記憶法について5つ、英語勉強について7つ、経済の勉強について9つ、そして世界に通じる勉強法5つ、竹中流の「極意」を紹介していく。「その通り」と共感するものあり、「なるほど」と参考になるものあり。
- 常に目標を2つ持て:直近の目標とビッグ・ピクチャーを描くこと
- 逆算して計画せよ:月単位のスケジュール帳にすべてのノルマを書き込み、終わったら消していく
- メモを持ち歩け:その日の終りにまとめてデータとしてパソコンに入力してしまう
- 暗記と基礎を繰り返せ:教科書や参考書ではなく、問題集を何度も解く