Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』で過ごす至福の時間

『博士の愛した数式』で数学の美しさを温かみのある小説で再現した小川洋子が、今度は『猫を抱いて象と泳ぐ』で、8 x 8 のチェス盤が作り出す深い無限の宇宙を描く。静かに紡ぎだされる美しい文章が、チェスの持つ芸術性を読む者の心に届ける。至福の時間。

猫を抱いて象と泳ぐ 博士の愛した数式 (新潮文庫)

最後のシーンは電車の中であったが、思わずこぼれそうになる涙をこらえるのに苦労した。こういう小説を読むと、日本語は亡びない、と思う。