Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

クラウド・コンピューティングについて、技術者が知っておくべきこと --- 「クラウドを超えて(Above the Clouds)」

2008年の IT 業界の buzzword といえば、「クラウド・コンピューティングCloud Computing)」であろう。

カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の計算機科学(Computer Science)の研究者たちが、クラウド・コンピューティングの概念と研究課題をまとめた white paper、"Above the Clouds: A Berkeley View of Cloud Computing"(同 PDF 版)が出た。まだ中身に目を通していないが、これは計算機科学やインターネットの技術者であれば、must-read であると思う。

なぜなら計算機科学の、それもアーキテクチャや OS、分散システムの最先端研究機関の一つである UC Berkeley (RAD: Reliable Adaptive Distributed Systems Laboratory) の大御所教授や気鋭の若手教授・研究者・学生たちが、今まで積み重ねてきた研究をもとに、クラウド・コンピューティングについて半年間ブレーンストーミングをしてまとめた position paper だからである。

このビデオに出てくるのが RAD Laboratory の教授たちである。向かって右、窓側にいる二人が「超」のつく大御所、David Patterson(コンピュータ・アーキテクチャの定番教科書、通称ヘネパタ本、Computer Architecture: A Quantitative Approachの著者)と Randy Katz である。RISC、並列コンピュータ、RAID など今日の計算機システムの基本的なアイディアを提唱し、実証してきた研究者である。

一番左端にいるのは、Armando Foxクラスター・コンピューティング、特にインターネットのサーバ側システムの研究者である。その隣りにいる Anthony Joseph は、彼が MIT の博士課程の学生時代にある学会で話をしたことがある。もう 10年以上も昔になるが、モバイル・コンピューティング用の OS という彼と同じテーマについて僕も研究していたからである。当時も今もモバイル・コンピューティングの課題は、通信が遅かったり途中で切れたりすること。彼は disconnect されても動き続けるアプリケーションの開発キットを作って、論文発表とデモをしていた。MIT でもトップクラスの非常に優秀な学生で、卒業後は Berkeley の先生になり、テニュアを取ったようだ。

"Above the Clouds" はこういった教授陣にリードされて議論された white paper だから、読むのが楽しみである。クラウド・コンピューティングは、必要な時に必要なだけコンピューティング資源を提供するという計算機技術者の長年の夢、ユーティリティ・コンピューティングを実現するものだ。"Above the Clouds" ではクラウド・コンピューティングに関する以下の質問に答えようと試みている:

"Above the Clouds" に関するリソースは以下の通りである:

クラウド・コンピューティングに関するエントリ