Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

「ソニーらしさ」とは?

昨日のソニーに関するエントリを読んだ友人から、

  • ストリンガー氏は海外経験の豊富な人、いわば自分がよくコミュニケートできる人を直下に持ってきた。逆に言えば、日本の社員とコミュニケーションが取れていないのではないか。
  • 今後は「日本的・ソニー的やりかた」「ソニーの個性」が否定され、オープン技術の採用により他社も作れる製品を作るようになるのではないか。

というようなコメントをもらった。オープン技術の採用が即「他社でも作れる製品を作る」ことにはならないと思うが、独創性なハードウェアを追求する「ソニーの個性」が失われる可能性があることにはうなずける意見である。

僕らの世代が「ソニーらしい」と思う製品は、何と言ってもウォークマンである。古くはポータブルカセットのデンスケであったり、BCL ラジオのスカイセンサーであったり(僕の机の上にはスカイセンサー5800が鎮座している)、独創的で魅力的なハードウェアを他社に先駆けて作り、日本発・海外展開で売ってきたイメージを持っており、それが「ソニーらしさ」だと感じてきた。Preminiソニーらしい製品かもしれない。

ストリンガー会長がめざすソニーCES 基調講演)は、僕らの思う「ソニーらしさ」とは二つの意味で違う気がする。一つは、ハードウェアではなくソフトウェアとネットワークを志向すること、もう一つは最初からグローバルという視点で製品を作ることである。

昔は一番厳しい日本の消費者に受け入れられる製品を作れば、それが世界にも通用すると考えられた。今は、ガラパゴスとかパラダイス鎖国と呼ばれるように、日本市場の方がグローバル視点では特殊になっているらしい。グローバル市場で戦うには、「世界同一共通プラットフォーム」が必須で、国ごとに多少フレーバーは変えてローカライズするものの、基本は同じ製品を同時に出していく。ストリンガー会長はそういうことを考えているのではないかと思う。ソフトウェア開発を全社横断の共通組織にしたのも、OS は共通化して、GUI やサービスで差別化したいという現れではないだろうか。これは僕らが勝手に抱いている「ソニーらしい」会社とは、全然違う会社である。

さらに余計なことを書くと、ソフトウェアやネットワークを標榜するのはいいが、それが Chumby との提携というのは、個人的には全然「ソニーらしくない。」

まぁ、他社の心配をしていても何の得にもならない。今は自分の会社の将来を心配をする時である。