5月の連休中に2泊3日の泊りがけで、ゴルフのコーチが年に数回開催しているラウンドレッスンを受けた。場所は佐久市にあるサニーカントリークラブ。浅間、八ヶ岳、蓼科の三つのコースがある。到着した初日に1ラウンド、2日目と 3日目は早朝から1.5(ワン・ハーフ)ラウンド。さらに夕方にはバンカーやアプローチの練習をするという内容で、一日が終わるとへとへとになる。しかも夜は宴会という、「合宿」のようなレッスンであった。
参加した方は「合宿」の常連ばかりで、うまい。今回がようやく3回目のラウンドとなる初心者の僕は、彼らの迷惑にならないよう、ひたすら走り回りながらついていくことになる。コーチには「はじめのうちはスコアにこだわる必要はない。まず覚えなければいけないのはゴルフのまわり方。マナーである。」と言われ、繰り返し指導を受けた。
初日は体に余計な力が入りすぎてボールに当たらず、どうなることかと思われたが、2日目、3日目にはだいぶ体が慣れてきた。ふだんの練習ではまったく当たっていなかったドライバーにも2日目から取り組み始め、ボールが飛ぶようになり始めたのが大きな成果。一度だけ、フェアウェイのど真ん中に 200 ヤード以上飛んで行ったのには、自分でも驚いた。
ラウンドの途中でコーチがスイングをチェックしてアドバイスしてくれるのが大きい。たとえばトップした後も、「ボールが前にころがっているのなら、トップしていい。ボールが上がるようになるまで、しばらく我慢しなさい。」と言われたのだが、確かに何度か打つうちにだんだんとボールが上がるようになっていった。こんな時、自分で修正しようとすると、どんどん悪くなっていくことが多い。特に「ボールを上げよう」と意識して力が入ると体の重心のバランスが崩れ、かえってスイングがおかしくなる。「その素振りのスイングでよい」「力を抜いて、我慢して続けよ」というアドバイスがあるので、変な修正をせずに続けていくことができる。
実際のラウンドを通して、さまざまな状況でボールを打つことになる。いつもの練習場では経験できない貴重な場面の連続である。以下、ラウンド・レッスンを通じて学んだことをいくつかの項目に分けて整理しておく。
マナー
基本は「迅速に」そして、常に「一緒に回る人への心配りを」。何をしたら皆が気持ちよくまわれるか、意識するようにする。コーチが口を酸っぱくして言っていたのは次のようなことである。中にはよく言われていることもあるが、今までに教わったことのないことも多い。
- 適切なクラブをすぐに取り出せるよう、クラブは番号順に整理してキャディーバッグに入れる。紛失防止の確認にもなる。
- 素振りは1回だけ。
- クラブを複数本持って、ボールのところにいく。
- グリーンが近づいたら、同じ組の人のパターを一緒に持っていって渡してあげる。
- グリーン周りにクラブを置く時は、カート方向に置く(あとで置き忘れないように)。
- 原則、一番ボールがホールに近い人が旗を抜く。
- 風ではためかないよう、旗をまるめてポールを持つ。
- グリーンではラインを踏まない。またぐのも原則不可。
- 残り 1m くらい残した場合は先に入れてしまう。その時にはわざわざマークしてボールを置き直したりしない。
- 一番最初にホールインした人が、グリーン周りを見て、置いてあるクラブを集める。
- 全員がカップに入れたら、さっさとグリーンから離れる。クラブ、パターを持ったままカートに乗り、次のホールでバッグに入れるようにする。スコアもその時につける。
- 特に言われなければ、「ボールマークが邪魔になるか」聞かなくてもよい(マークを目印にパッティングをする人もいるので)。
こういった基本を身につけておけば、誰とどんな時でも一緒にラウンドできるとのこと。
パター練習
ラウンド前のパター練習は以下の二つのみでよい。結局この2種類のパットがラウンドでも中心となる。
- 長いパット
- 1m くらいのパット
ショット / スイング
合宿初日のラウンド前の練習で、「体に力が入り過ぎ」と指摘される。そのため下記の練習を行った。
- 体から力を抜く。グリップを柔らかく。
- 両足を広げずに揃えて立ち、腕の振りだけでボールを打つ練習をする。そのくらい力の抜けた感覚、「軽く振り切る」感じでスイングする。
そしてラウンド中は、バックスイングを中心にアドバイスを受けた。バックスイングがうまくできれば、スイング・プレーンが安定して、ボールの飛ぶ方向が定まるということだろう。
- とにかくボールの近くに立つ(自分では近過ぎるのでは?、と感じるくらいだ)。
- 腕を引き寄せる(腕を真下に下げたイメージ)。
- バックスイングは体を中心に円弧を描くように、ゆっくりと。
- 大きくアウトサイドに回さない(腕だけでクラブを持っていこうとすると大回りの軌道になる)。
- 体の回転、肩も同時に回転させて、円弧を描く(自分ではバックスイング開始時にその軌道を目で確認するイメージだとうまく行く気がする)。
- トップ:大きく振りかぶる必要はない。左腕が地面と平行になる位置が基本、それにプラス体の捩れがある程度。左肩越しにボールを見る。
- スイングのリズム:まずはゆっくり振る。慣れたらバックスイングのスピードを速くしていき、自分にあったリズム・速度を見つけていく。
- トップしてボールが前にころがったとしても、とにかく真っ直ぐ前へ進んでいるなら OK。我慢して、球があがるようになるのを待つ。
アプローチ
- 基本は AW、ラフからの時は SW。転がす時は 8I。
- とにかくボールの近くに立つ。トラブル・ショットであればあるほど近くに。
- ボールの位置は真ん中から右。高く上げるつもりなら右足の前に置く。
- 左脇を締め、膝を伸ばした体勢でスイング。
- スイングは左斜め 45度の位置で止める。
- ボールを上げようとしてクラブを上に振らない。手首を使わない。
- ロフト角があるので、ボールは「必ず」上がる。そう思って振り切らないスイングを心がける。
- 上級者の技:
- 低く打ちたいときは左小指を強く握る。
- 高く打ちたいときは左小指を緩める(ボール・インパクトの前に)。
バンカーショット
- 基本編:
- 重心は左足。左:右=7:3 くらい。
- ボールの位置は左足のかかと。
- ボールの右に引かれた幅 2-3cm の線を「削り取る」つもりで打つ。
- スイングは振り切る。最初はホームランになってもよい。まずは出すこと。
- 応用編(アゴが高いバンカーから出す時):
- ロフトが 56度あれば、かなりボールは上がる。まずは基本のショットで出すことを考える。
- まず基本の位置(左足かかとの位置にボール)に立ち、それからボールを中心として円を描くように回転させる形で、立ち位置を右に変える。
- その結果、ボールを出したい方向より左を向いたオープンスタンスとなる。
- クラブのフェースを(思い切り)開き、オープンになったスタンスと平行にスイングをする。
- 球はスイング方向より右側、つまりもともと出したい方向に出て行く。
傾斜地
- 左足上がり or 左足下がり:
- 傾斜に合わせて立つのではなく、重力方向に鉛直に立つ。
- そのために左膝ないし右膝を適度に曲げる。
- クラブを短く持って打つ。
- つま先あがり:
- クラブを短く持って打つ。
- 下っている急なマウンドからのグリーンへのアプローチ:
- 右足を後ろに下げてころがす。
総括
非常に充実した合宿であった。ミドルホールで 3オン 1パット、初めてパーが取れた。グリーン奥の深いラフからのアプローチを一発で寄せて、1パットに収めたのだが、偶然にせよ嬉しかった。そして当たり始めたドライバーで 200 ヤード飛ばしてのミドルホール2回目のパー。ドライバーが当たるようになると2打目の風景が変わる感じである。
「スコアは気にしなくてもよい」ということであったが、やはり最後にまとめておく。結局3日間で8回ハーフを回ったことになる。2ハーフづつまとめておく:
- 66 (21) - 61 (24) = 127 (45: パット数)
- 62 (-) - 76 (-) = 138
- 65 (17) - 62 (22) = 127 (39)
- 61 (16) - 64 (21) = 125 (37)
最後の 125 (37) が自己ベストということになる。集中してラウンドすることによって、少し上達したような気がする。またふだん仕事では会えないような人と話をできたことも、このラウンド・レッスンのよいところである。