Muranaga's View

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新興市場における携帯電話の驚異(6)--- 仕上げ

The Economist(September 26th, 2009)特集「新興市場におけるテレコム産業」まとめ

  1. "Mobile marvels"(原文)→ 「携帯電話の驚異」(日本語要約)
  2. "Eureka moments"(原文)→ 「発見の瞬間」(日本語要約)
  3. "The mother of invention"(原文)→ 「発明の母」(日本語要約)
  4. "Up, up and Huawei"(原文)→ 「上へ上へ、そして遠くへ(Huawei)」(日本語要約)
  5. "Beyond voice"(原文)→ 「声を越えて」(日本語要約)
  6. "Finishing the job"(原文)→ 「仕上げ」(日本語要約)

The Economist(September 26th, 2009)「新興市場におけるテレコム産業」特集のまとめ、第6弾、いよいよ最後である。携帯電話は万人がアクセスできるようになりつつあるが、インターネットもそうなるか。携帯電話の普及により、テレコム・通信産業は地球上のすべての人をつなぐという大きな仕事を終えようとしている(以下、図をクリックすると、原文のウェブサイトに飛ぶ)。

Finishing the job 「仕上げ」
まもなく携帯電話は万人がアクセスできるようになる。インターネットも同じように万人がアクセスできるようにするのが次の仕事である

人口あたりの携帯電話の数を "teledensity" というが、全世界の携帯電話の teledensity が 100% を超える(携帯電話数が人口よりも増える)のは、今後10年以内と予測する向きもある。2007年には欧州で 100% を超え、南アフリカでも 1月に 100% を、ガーナでは同じ月に 98% をマークした。ケニヤとタンザニアは 2013年までに 100% に達するとみられている。複数の携帯電話や SIM カードを持つ人がいるので、100% が必ずしもすべての人が携帯電話も持っていることにはならないが、5年ないし10年以内にはそうなる可能性がある。となると次は何か?

次のタスクはモバイル技術を使ってインターネットにアクセスできるようにすることだ。2014年までにモバイル・ブロードバンドの利用者は 14億人になる可能性がある(図7)。その間にラップトップの価格が下がって大きさが小さくなり、コンピュータの持つ性能と機能と、携帯電話のポータビリティを併せ持つ機器が現れるかもしれない。


Watch it take off

モバイル・ブロードバンドと安価なネットブックの組み合わせにより、発展・開発を促進するツールはコンピュータか携帯電話かという長年の議論が決着をみるだろう。コンピュータ派は MIT のネグロポンテ(Nicholas Negroponte)で、$100 ラップトップを推進してきた。政府に対して、これを数100万人に配ることにより、教育の役に立つと説く。

一方、同じ $100 を校舎や教科書、先生の研修に使った方が意味があると批判派は言う。GrameenPhone の Iqbar Quadir はこの立場で、携帯電話こそが直接的な経済メリットがあり、政府の資金を得なくても、ボトムアップな発展が可能とする。二人の論議は数年続いた。

どうやら開発のツールという点では、携帯電話派が勝ったように見える。しかしデバイスとネットワーク技術の進歩により、コストの安いネットブックが出るころには、キーボード付きの大きな携帯電話が出てきて、インターネット・アクセスが可能となるだろう。ネットブック対携帯電話という論議は意味を失ったかのようだ。重要なことは、携帯電話の普及と同じように、インターネットアクセスが普及するかどうかである。

一つの課題は、バックボーンの接続がない(特にアフリカ)ことである。こういった国際リンクが改良されてくると、低価格のモバイル・ブロードバンドサービスは難しくない。次には、機器の価格を下げることが大きなチャレンジとなる。新興市場ではモバイル機器の価格は最大でも $60-80 と見られている。携帯電話が $35 以下で浸透したことから、ネットブックの価格は $100 以下でなければならないと考えられている。

The rise of the village netbook

「村の電話」モデルと同じことがインターネットでも可能か、そしてそれが最貧困の地域でインターネット・アクセスを広げる足がかりになるか、Grameen 財団はウガンダの「村のオペレータ」にネットブックを渡す実験を始めている。起業家たちにネットブックを買わせて情報サービスをさせるために、マイクロファイナンスを行うことも意味があることもかもしれない。

またインターネットをフルに活用にするには、利用者の教育とリテラシーがあるレベルまで必要になる。したがって携帯電話の普及ほど劇的で突然起こったようなことにはならないだろう。

壮大なテレコム・通信の歴史において、携帯電話は他のどの技術よりも大きく、かつ速く人々の生活を変えた。1791年の電信の発明以来始まった、地球上のすべての人間をつなぐという長いプロセスは、今まさに完結しようとしている。携帯電話は通信の民主化を、他の何よりも進めたものとなるだろう。


Finishing the job

Sources and acknowledgements 参考文献と謝辞

The Economist(September 26th, 2009)特集「新興市場におけるテレコム産業」まとめ

  1. "Mobile marvels"(原文)→ 「携帯電話の驚異」(日本語要約)
  2. "Eureka moments"(原文)→ 「発見の瞬間」(日本語要約)
  3. "The mother of invention"(原文)→ 「発明の母」(日本語要約)
  4. "Up, up and Huawei"(原文)→ 「上へ上へ、そして遠くへ(Huawei)」(日本語要約)
  5. "Beyond voice"(原文)→ 「声を越えて」(日本語要約)
  6. "Finishing the job"(原文)→ 「仕上げ」(日本語要約)