iPad 入手に合わせて、『スティーブ・ジョブズの流儀』(原題:Inside Steve's Brain、「スティーブ・ジョブズの頭の中」)を読む。プライベートまで含めて、その破天荒な人生を描いた『スティーブ・ジョブズ-偶像復活 iCon』よりも、ビジネスの側面にフォーカスして、経営者としてのジョブズの姿を描き出そうとしている。顧客がまだその欲求に気づいていない、革新的な製品を世に出すこと。徹底的にシンプルなものに仕上げていくこと。類まれな才能と徹底的なこだわりが、iMac、iPod、iPhone といった成功を生んだ。訳書は2008年版がベースのため少し情報が古いが、原著 "Inside Steve's Brain" は Expanded Edition が出ており、癌との戦いの章が追加されている。Kindle 版もあるが、米国在住でないと入手できない。
最新の「スティーブ・ジョブズの頭の中」については、WWDC を目前に控えて、D: All Things Digital (D8) というカンファレンスでのインタビュー(抄訳)がある。そこでは
- Apple の時価総額が Microsoft を超えたこと
- Flash を採用しないこと --- HTML 5 を指示していること
- iPhone プロトタイプがスクープされたこと
- 生産委託先である Foxconn で自殺者が相次いだこと
- Google との戦い
- タブレットの開発、そして新聞・雑誌へ与える影響
- AppStore の審査基準
- 次の10年間、何に取り組むのか
について語っている。
「実は携帯電話よりもタブレットの方が先だった(iPhone よりも iPad を先に考えていた)。」とか、「テレビ業界への参入がしにくいのは、セットトップボックスを無料で配る subsidized モデルなので、誰もボックスを買いたがらないからだ。それは TiVo や Roku、われわれに聞いたらわかる、そして数ヶ月後の Google に聞いてもね(Google TV)。」など、なかなか興味深い。「われわれより頭のいい人が、TV を何とかするかもしれないが、Apple TV がまだホビーだと言っているのはそういう訳だ。」とジョブズ自身は言っているが、$99 の新 Apple TV の開発も噂になっている。iPhone、iPad と来て、さらにテレビという大きな画面に対してスティーブ・ジョブズがどう取り組んでいるのか。目を離すことができない。