Muranaga's View

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Dell と HP がめざす PC 以外の IT ビジネス(The Economist)

Dell と HP (Hewlett-Packard) は成熟した PC 市場から離れようとしている。果たしてどんな IT ビジネスに向かおうとしているのか。上記 The Economist の記事によれば、新しいデバイスクラウドコンピューティング垂直統合という三つの IT 業界のトレンドと戦うために、両社とも

  • タブレット型コンピュータの開発
  • データストレージのようなクラウドビジネスの買収
  • IT サービスビジネスの買収
を実行して、自らのビジネスを再構築してきている。米国の会社は、トップの交代、および M&A という手法により、会社のポートフォリオをどんどん書き換える。日本の会社は残念ながら、そのスピードについていけていないところが多い。以下、簡単に記事の内容をメモしておく。

Dell や HP が戦っている IT トレンドの一つは、タブレット型のコンピュータやスマートフォンの台頭であり、ローエンドの PC の売上に影響を与えている。二つ目のトレンドはクラウドコンピューティングである。Amazon や Rackspace Hosting といった先駆的なクラウド提供者が、サーバは買うより借りたほうがいいと、企業顧客に伝道している。

三つ目のトレンドは「垂直統合化(verticalization)」である。企業顧客は IT のハードウェア、OS、アプリケーションを別々に買うのではなく、オールインワンのソリューションとして欲しがっている。買ってきた箱のスイッチを入れれば、クラウドシステムとも統合されてすぐに動くソリューションが求められている。こういったトレンドの中で、Oracle のようなソフトウェア会社と、HP や Dell のようなハードウェア会社の競争が始まり、業界の再編をもたらしている。PC ビジネスは死んではいないが、企業顧客はデスクトップやサーバを提供するだけではなく、フル・サービスを IT 企業に求めている。


Dell and HP: Rebooting their systems

そして消費者が自分用に買った IT 機器が、企業内で使われるようになり、法人市場に影響を及ぼしている。だから HP や Dell はマス市場向けに成功するデバイスを作る必要があり、どちらもタブレットを開発した。Dell の Streak 7 は Android OS、HP の TouchPad は webOS(開発した Palm を HP が買収)。Dell はオープン、HP はよりクローズドなアプローチであるが、GoogleAndroid のアプリケーションをめぐるエコシステムが成功するならば、HP は独自のアプローチを変える必要がでてくるだろう。

HP も Dell も、データ・ストレージのようなクラウド関連会社を買収することで、PC とサーバへの依存から脱却しようとしている。Dell は 2008年に EqualLogic を14億ドルで買収、さらに2010年 Boomi(アプリケーションをクラウドへ移行するのを支援)、InSite One(クラウドベースの医療アーカイヴ)を手に入れた。一方、HP は Dell との買収合戦に勝ち、3PAR というデータストレージ会社を24億ドルで手に入れている。

そして「垂直統合化」のルートは、IBM を真似することでもある。両者は IBM のように PC ビジネスを手放してはいないが、サービス提供者を買収している。HP は 2008年の EDS を、Dell は翌 2009年に Perot Systems を買収し、さらに HP は Vertica(大量のデータを高速に解析するソフトウェア)を手に入れた。

Dell の大企業向けビジネスの売上の中の 41% はサービスビジネスから来ており、利益率が高い。DellIBMAccenture がサービスの売上を伸ばしているのに対し、HP は直近の四半期で 2% 売上を落としている。HP にとって、利益率の高いコンサルティングがまだ弱点となっている。その中で HP はコンサルティング会社から新たな取締役を迎え、新たな買収を開始している。

本ブログにおける The Economist の記事に関するメモ・まとめ