Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

中部銀次郎を読む

本はわりとよく読むほうだと思うが、ことゴルフに関しては、本や雑誌にあまり目を通さないできた。特に雑誌に書かれている技術論は、十人十色、人によって言うことが違っていてあまり参考にならない。

ところが「100切り」ができずに足踏みしている中、何か参考にできる教えを求めて、このところ何冊かまとめて本を読んでいる。技術論ではなく、コースマネジメントやゲーム中のメンタル面で役に立つ考え方を知りたかった。技術については結局のところ練習で磨くしかないが、その上達にはある程度時間がかかる。コースマネジメントやメンタル面でのコントロール方法を学べば、今の自分の技術レベルでも何かしらのスコアアップにつながるのではなかろうか。

そういう期待を持って何冊か読んだ中、最も参考になったのは、伝説のアマ、中部銀次郎氏の著作である。『もっと深く、もっと楽しく』とその続編『ゴルフの神髄』の言葉が心に残る。

  • ほどほどボールを打てる基礎的な技術を身につけているゴルファーであれば、ゲームの設計次第で目覚ましいスコアを実現することが可能だ
  • もし、いいスコアでラウンドしたいと思い、自分のベストスコアを更新できたときが一番嬉しいとするなら、自分を知り、自分のショット力を基に、徹底的に確率を重視したゴルフを自分に課す
  • ゴルフというゲームは、ボールを打つ技術によって決まるものではない。ゲームに対する執着によって、彼我の差が生じていく
  • 自分の技術の範囲で、自分の持てる力を最大限に引き出す方法を考える。結局、行き着くところは心の問題になる
  • ゴルフについて言葉で語れるのは、ゲームについての考え方の領分だけである
  • いかなる局面でも自分を支えてくれる心の余裕は、最終的には自分が積んだ練習の量から生まれてくる
  • 難しいショットを避け、安全なところへボールを出して、次のショットを確実に処理するほうが、結果的には最善である
  • ゴルフはミスのゲームである。ミスが必ず発生することを前提に、ゲームプランを組み立てなければ嘘である
  • あらゆるレベルのゴルファーにとって、最も重要なショットはアプローチである
  • (アイアンショットで)地面の上にあるボールを打つ際には、円弧の最下点がボールの 2-3センチ先にくるようにクラブを振らなければならない

自分のショット力を過大評価せずに、ミスショットが出て当たり前と考える。ミスショットを受け入れ、次の一打に集中する。またナイスショットが出てもまぐれと考え、下手に欲をかかない。精神面での制約をできる限り取り払うこと、その術をいくつか知っていることが大切になる。

この2冊で中部銀次郎の教えはほぼ言い尽くされていると思うが、他にも自著がある。『わかったと思うな』は中部銀次郎の教えを一冊にまとめた本であり、『悠々として急げ』は自伝である。

わかったと思うな―中部銀次郎ラストメッセージ

わかったと思うな―中部銀次郎ラストメッセージ

悠々として急げ

悠々として急げ

その他にも生前親しくしていた方がそのエピソードや語録をまとめた本が何冊も出版されている。本人が自ら語らなかったエピソードや、周囲から見た中部銀次郎の姿を垣間見ることができる。中でも『悟りのゴルフ』には中部銀次郎の写真が載っており、文章でしか知らなかった姿を確認することができた。ゴルフの求道者という雰囲気を醸し出している。生前の中部をよく知る青木プロ、倉本プロ、阪田アマ、小林陽太郎富士ゼロックス会長、そして実子である中部隆氏が思い出を語っている。

中部銀次郎 ゴルフの心―技術でもなく、道具でもない 日経ビジネス人文庫

中部銀次郎 ゴルフの心―技術でもなく、道具でもない 日経ビジネス人文庫

中部銀次郎 ゴルフの流儀 (日経ビジネス人文庫)

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