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カーナビの地図を更新 --- カーナビは Google マップに勝てるのか?

多少迷ったりもしていたのだが、数年ぶりにカーナビ(ストラーダ CN-HX1000D)の地図を更新した。メーカー希望小売価格 25,200円のところを、Amazon だと 7,000円引きで入手できる。

DVD 2枚を読み込む更新作業には 100分近くかかり、その間エンジンはかけっ放し、切ってはいけない。というので、年末の箱根ドライブの最中に更新することにした。この間、当然ナビ機能は使えないし、iPhone の音楽も聞くことはできない。

横浜の家を出てから約 1時間半、東名高速の足柄SA の手前で地図更新が無事完了。写真のように新東名高速にも対応していることも確認できた。地図データばかりでなく、カーナビのユーザインタフェースも改善されて、目的地を検索したら、それをそのままマイデータとして登録できるようになった。一見当たり前、この自然な流れの操作がなぜか今まではできなかったのだ(わざわざ新規データ登録メニューに行って、改めて場所を検索する必要があった)。

カーナビが使えない間、代わりに iPhone のグーグル・マップ(Google Maps) のナビ機能を試してみた。高速道路でしか使っていないので、一般道を案内するルートの正確さや位置の精度は未確認だし、iPhone の画面も小さいけれど、結構使えるという印象を受けた。この地図アプリが無料で提供されていることを考えると、カーナビ・メーカー(特にポータブル・カーナビ PND メーカー)は大変だと思う。タブレットiPadiPad miniAndroid)と車へのアタッチメント、Google マップがあれば、それだけで十分カーナビの機能を果たすかもしれない。案内するルートの精度は改善の余地があるだろうが、インタフェースが優れているので、指先のタッチひとつで経由地を設定してリルートできるし、POI(Point of Interest)が豊富で検索も容易である。また自宅で予めルートを検索して、それをそのまま車に持ち込むような使い方もできる。そして何と言っても、無償の地図が常に最新と来ている。交通情報・渋滞情報も、地図上に随時表示される。一昨年夏、米国の都市をいくつかまわる弾丸出張の際に、現地法人の社員がアタッチメントを持ち歩いて、自分の Android スマートフォンをレンタカーに取り付け、Google マップの案内で運転していたが、それが日本でも実用的に使えるレベルになりつつあると感じた。

今後国内のカーナビ・メーカーは、タブレットと差異化するために、より性能・機能を高めていくことだろう。カロッツェリア集合知を使った情報ネット、スマートループや、拡張現実 AR を使ったフロントウィンドウの先への表示などは、そのよい例である。しかしカーナビの最も基本的な性能であるルート探索については、既にある程度十分なレベルに達してしまっており、ユーザがカーナビに対して本質的に求めるものを、メーカーが提供する仕様が追い越してしまいつつある。そうなるといわゆる「イノベーションのジレンマ」と同様の状況である。「タブレット + Google マップ」でユーザは十分満足してしまうことになり、カーナビを買わなくなる。高級カーナビとしてのニッチ市場だけが残ることなるだろう。タブレットGoogle マップの組み合わせが、カーナビ市場に対する「破壊的な」イノベーション(disruptive innovation)になる。

実は上記と同じことを 4年ほど前にも考えていた(カーナビも「集合知処理」をする時代 --- そして「イノベーションのジレンマ」へ)。その時は破壊的イノベーションを起こすのは PND だと考えていたが、実はそれがタブレットという新しいデバイスであり、Google マップだったという訳だ。AppleGoogle といった ICT の先進プレーヤーが、既存の消費者製品市場を全く違ったものに塗り替えていく。

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