Muranaga's View

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立花隆『がん 生と死の謎に挑む』

日本人の半分ががんになり、三分の一はがんで死ぬ時代。立花隆自身ががんになり、同時期に長年の友人をがんで亡くした。それをきっかけに「そもそもがんとは何なのか。」「がん医療はどこまで進んだのか。」といった基本的な疑問に答えるべく、多数のがんの専門家にインタビューしてテレビ番組を作る。その NHK スペシャル「がん 生と死の謎に挑む」のメイキング編となるのが、この本の第一章に相当する。番組の裏側での莫大な取材内容に基づいて執筆されており、情報量が多い。この本を読む前に番組を見て欲しいと著者はまえがきに書いているが、見ていなくても十分興味深く読める(僕のように、見ていない読者のために完成版のシナリオが付録についている)。

第二章は著者自身の膀胱がん手術記。好奇心溢れるままに、がんが見つかった検査から、手術の過程までを克明に描く。

がんは遺伝子変異によって細胞が変化することによって起こる病気。それはどこまで解明されているのか。発生、再発、転移のメカニズムは?そして放射線療法や化学療法の効果は?がんとどう向き合えばいいのか。説明が非常にわかり易く、バランスも取れている。がんの入門書として適切な本だと思う。

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