Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

50数年の人生で初めて美容院へ行ってみた

自他ともに「新しもの好き」と認められている僕。もともとソフトウェア屋で、IT ガジェット好き、どちらかというとアーリーアダプター(early adopter)。仕事でも「切り込み隊長」と言われることがある。ところが実際には、保守的な側面もある。50数年生きてきて、美容院で調髪したことが、実は一度もなかったのだ。

休日の夕方、歩いて数分の近所の理髪店にふらっと行く。待つことはほとんどない。椅子に座ること 1時間弱、3,800円。ときどき老店主と言葉を交わすが、それも一言二言。それをずっと繰り返してきた。その慣習を変える契機になったのが、10年近く通い慣れたその理髪店が閉店してしまったからである。



最近、妻や子供が使っている美容室は、HAIR SALON Ciao!。ヘアカット専門 20分、1,600円。しかもインターネット・スマホで予約ができ、待ち時間や自分の順番を確認することができ、待たされることがない。通勤の途中駅にあるので、会社帰りに寄ることができる。

休日当日の予約は取れないが、平日の夕方・夜は空きがあるようだ。実際にスマホで予約して、会社帰りに行ってみる。予約時間の 5分前に入店、僕のようなおじさんもたくさん待っている。ほぼ時間通りに名前を呼ばれ、20分ほどでカットが終わる。あっさりしたものである。顔剃りのように、1日で効果がなくなるサービスなどはなく、カットに徹している。しかもその店は、隣りに本屋があるので、新刊や雑誌などを眺めながら、適当に時間調整もできる。

そんな訳で、美容院デビューを果たし、これからしばらくはこのお店に通うことになりそうだ。ヘアカットしてくれる人の中には、正社員の人もいれば、個人事業主の人もいるそうだ。ネット予約のお客がほとんどのため、どのお店がどの時間帯に混むか、予めわかる。そこで混む時間帯には、別のお店から人が派遣されてくる。ヘアカットは20分一本勝負と仕事量・単位が決まっているので、最適化がしやすい。まさにデータに基づく予測・最適資源配置という先端の経営が行われているのであった。

大昔、戦略経営の教科書として、大前研一の『企業参謀』を読んだ時、理髪店には一日で効果のなくなるサービスが多く、コストは非常に安くできるという話が載っていた。また『ブルーオーシャン戦略』ではカットに徹した QB ハウスの例が取り上げられている。それにネット・スマホ予約を組み合わせることで、データドリヴンの経営が可能になったという訳だ。顧客の声もスマホでフィードバックされる。

長年通い慣れた理髪店。そこにはレトロな雰囲気もあり、趣きもある訳だが、ネット予約できる美容室の手軽な利便性を一度経験してしまうと、元には戻れない気がする。

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