Muranaga's View

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無名の絵師、小原古邨の花鳥木版画の世界(茅ヶ崎市美術館)

三連休最後の朝は、サザンオールスターズを聴きながら、愛車で茅ヶ崎をめざす。前日のNHK「日曜美術館」で、日本では無名の絵師、小原古邨(おはら こそん)が紹介されたが、その展覧会「小原古邨展 花と鳥のエデン」茅ヶ崎市美術館で開催されているのである。横浜の自宅から1時間弱。開館前にもかかわらず、小さな駐車場は既に満車。そして美術館の前には100人もの人が並んでいた。

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小原古邨の絵は、写実的な花鳥画。しかも肉筆と見紛うべき精緻な木版画である。木版画らしく、背景も白一色ではなく、木目を活かすように微妙に摺りの色が載せられている(「板目摺」)。また「きめ出し」と言われる技法で立体感が出されている。同じ絵でも、平板でデジタルな印象を与える肉筆画に対し、奥行きと温かみが感じられる。「日曜美術館」では、「ぼかし」、「正面摺」、「雲母(きら)摺」といったさまざまな浮世絵の技法が駆使されていることが紹介されていた。絵師である古邨と、彫師・摺師との絶妙なコラボレーションが生んだ花鳥木版画の世界である。

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小原古邨は海外での評価は高く、数多くの作品が輸出されており、日本ではほとんど知られていない。この度、北斎や広重などの蒐集で知られる実業家・原安三郎の浮世絵コレクションの中に埋もれていたのが、260点あまり見つかり、それが公開されている。これほど多くの古邨の絵が並ぶのは本邦初とのこと。明治後期の作品の版元は、大黒屋となっている。その後、大正時代には渡邊庄三郎の渡辺版画店が版元となって、「小原祥邨」名で「新版画」を出している。大黒屋が版元となった作品は日本画風。一方渡辺版はもっと色彩豊富でコントラストが強調されたものとなっている。版元の違い、彫師・摺師の違いが如実に表れている。

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図録を購入したが、今日でいったん品切れになったらしい。『版画芸術』に小原古邨の特集が組まれ、今回見つかった原安三郎のコレクションの中から 70点ほどの作品が紹介されている。11月には『版画芸術』を出版している阿部出版から画集が発売され、そこには300点ほどの作品が収録されるとのこと。

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せっかく茅ヶ崎まで来たのだからと、平塚まで足を伸ばす。「小倉遊亀」展平塚市美術館で開かれている。小倉遊亀おぐら ゆき)は一時期、安田靫彦(やすだ ゆきひこ)に師事し、105歳という長寿を全うした女性画家。さまざまなモチーフ・技術を使って、自由に画風を変えてきた人だと感じた。

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因みに本日のランチは、平塚市美術館併設の「ラ・パレット」にて。サラダ、ミニデザート、コーヒーがついてきて、お得感がある。

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今回の湘南ドライブのお供は、もちろんサザンオールスターズのベストアルバム。

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