Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

重いボルタンスキー、美しい速水御舟

国立新美術館で開催されている「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展を見る。

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まだご存命だが、大規模な回顧展であり、展覧会場そのものが、インスタレーションという位置づけになっている。展覧会の入り口には DEPART、出口には ARRIVE と表示されている。

boltanski2019.exhibit.jp

写真、電球、衣服などで、個人や集団の記憶を表現している。古着で埋め尽くされた壁。祭壇のように並べられた写真。黒い衣服のボタ山。過去にそこにいた人たちの「死」を感じさせる展示が並ぶ。

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ボルタンスキー展が重かったので、気分のバランスを取るべく、山種美術館「生誕125周年 速水御舟」展に向かう。代表作の『炎舞』をはじめ、写実性の高い美しい日本画が展示されている。

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『翠苔緑芝』は写真撮影が許されていた。

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速水御舟『翠苔緑芝』

この美術館は速水御舟の作品を多数持っており、速水御舟展を数年に1度の割合で開催している。前回は 2016年11月だったから、『炎舞」を見るのは3年ぶりくらいだろうか。40歳という短い生涯ながら、速水御舟はさまざまな技法を取り入れていった画家である。『炎舞』はその細密写実と様式美とが融合した一つの到達点であろう。

早逝の近代日本画家・速水御舟。2016年11月、山種美術館で「速水御舟の全貌」という展示会が開催されている。NHK 日曜美術館で紹介され、結構混雑している。

速水御舟は現状に満足せず、常に自分を向上させることを自分に課した。40歳という短い生涯ながら、その作風・技法は変貌を遂げ続ける。細密写実と様式美の融合する「炎舞」がその一つの到達点。

www.yamatane-museum.jp