国立新美術館で開催されている「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」展を見る。
まだご存命だが、大規模な回顧展であり、展覧会場そのものが、インスタレーションという位置づけになっている。展覧会の入り口には DEPART、出口には ARRIVE と表示されている。
写真、電球、衣服などで、個人や集団の記憶を表現している。古着で埋め尽くされた壁。祭壇のように並べられた写真。黒い衣服のボタ山。過去にそこにいた人たちの「死」を感じさせる展示が並ぶ。
ボルタンスキー展が重かったので、気分のバランスを取るべく、山種美術館の「生誕125周年 速水御舟」展に向かう。代表作の『炎舞』をはじめ、写実性の高い美しい日本画が展示されている。
『翠苔緑芝』は写真撮影が許されていた。
この美術館は速水御舟の作品を多数持っており、速水御舟展を数年に1度の割合で開催している。前回は 2016年11月だったから、『炎舞」を見るのは3年ぶりくらいだろうか。40歳という短い生涯ながら、速水御舟はさまざまな技法を取り入れていった画家である。『炎舞』はその細密写実と様式美とが融合した一つの到達点であろう。