会社休日はあいにくの雨。残念ながらゴルフはできなかったが、雨の日の美術館巡りも悪くない。6月になって多くの美術館・博物館が営業を再開している。
まず訪れたのはサントリー美術館で開催されている「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」展。ミネアポリス美術館が所蔵する日本絵画が里帰りしている。水墨画・狩野派・やまと絵・琳派・浮世絵・文人画(南画)・奇想派・近代絵画と構成され、日本絵画史の主要ジャンルをカバーしている。
清原雪信は狩野派随一の女流絵師で、父は狩野探幽の高弟・久隅守景。
私淑の系譜である琳派からは、俵屋宗達、酒井抱一、鈴木其一の作品が展示されている。
自宅の庭に数十羽の鶏を放して、写生をしていた伊藤若冲。その緻密な着色画と対照的で、軽妙洒脱な水墨画で、さまざまな姿の鶏が描かれている。
若冲と同様、「奇想の画家」として知られる曽我蕭白による鶴の絵。右隻と左隻で対照的な描き方である。
ミネアポリス美術館は 2,500点もの浮世絵のコレクションがある。主題を劇的に描く葛飾北斎。風景画の名手、歌川広重。
河鍋暁斎は上手い。七福神のパロディを遊女ではなくお多福で描いている。
狩野派最後の画家の一人、狩野芳崖はフェノロサに見い出され、西洋の顔料を使って日本画の近代化を進めた。《巨鷲図》においても、雪舟を思わせる樹木の描き方と、西洋画のような陰影による立体的な鷲の姿が、ミックスされている。
欧米ではよく知られ、日本では最近になって再評価されている渡辺省亭。紫式部が源氏物語を執筆したと言われる石山寺。風景に使われる墨の濃淡と、人物の濃彩のコントラストが美しい。今年開催された渡辺省亭の展覧会では、その写実的な表現にひとめで心を奪われてしまった。
室町時代から明治時代まで、日本絵画の主要なジャンルを一気に辿ることのできる展覧会であった。すべての作品が写真撮影 OK になっている。
サントリー美術館をあとにして、パナソニック汐留美術館で開催されている「クールベと海」展に向かう。