Muranaga's View

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「スロージョギング」のやり方を見直している

去年の11月から、ときどきサボったりしながらだが、週に 3回ほど、ジョギングしている。ランニング初心者ということもあって、気軽に長く続けられそうな「スロージョギング」と呼ばれる走り方を参考にしている。

  • 「にこにこペース」と言われる楽なスピードでゆっくり走ること
  • フォアフット着地することで衝撃を和らげるピッチ走法(15秒で45歩以上)

がスロージョギングの大きな特徴だが、実際にはこのどちらのポイントも実現できていなかった気がする。

まずはじめに、きつい。自分にとって楽なスピードで走っていない。なので、サボりがちになる。

そして、距離が伸びていないと言う事実。朝の30分という限られた時間ということもあって、3km を走ったらそれで終わりにしている。そのせいか、どちらかというと 3km をいかに速く走るかと言う方向に行ってしまって、笑顔でおしゃべりしながらできる「にこにこペース」で長く走る、というスロージョギング本来の意味を見失っていた。

最後は、故障である。ここ数週間の間に、右足の踵、アキレス腱の付け根を痛めてしまった。本当の原因は不明だが、やはりジョギングが最有力候補として考えられる。

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そこでもう一度「スロージョギング」の入門書である『ランニングする前に読む本』を読み返してみた。

まず「にこにこペース」とは、心理学者のボルグが提案した主観的強度(RPE: Rate of Perceived Exertion)という指数が 10-12 のペースである。主観的強度は、もっとも楽な場合を 6、もっともきつい場合を 20 とした指標であるが、20歳代の若者を対象にした場合に、この数値の10倍が運動時の心拍数に対応するようになっている。6 はじっとしている時、安静時の数値である。

ボルグの主観的強度表:田中宏暁『ランニングする前に読む本』 P.63 より引用

乳酸値が溜まらない「にこにこペース」は、ランニング初心者の場合の目安は時速 3 - 6km、つまり 10-20分 / km であるという。そのペースで 1日 30-60分、週にトータル 180分以上の運動を 3 - 6ヶ月続けられるようになればしめたもの。距離にして週トータル 20 - 30km を 3ヶ月続けられると、その時には「にこにこペース」のスロージョギングのスピードは時速 6 - 8km になっているはずとのこと(7.5 - 10分 / km)。ちなみにベテランのランナーになると、乳酸閾値(乳酸が溜まり始めるスピード)は時速 12km(5分 / km)。

僕の場合、いきなり 3km / 22分、つまり 7分20秒/km(時速 8.2km)くらいから始めて、一時期は 3km / 19分、6分20秒 / km(時速 9.5km)までペースを上げてしまった。もちろん僕にとってきつく、とても笑顔でおしゃべりできる「にこにこペース」になっていない。全然「スロー」ジョギングになっていなかったことになる。

もっと楽なペースで走り始めて、数ヶ月かけて、徐々に距離を伸ばせるようにしていくべきだったのだろう。初心者なのだから時速 6km(10分 / km)、3km 走るのに 30分かけてもよかったはずである。

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『ランニングする前に読む本』では、心拍数の観点から、より客観的に「にこにこペース」を見つける方法も紹介されている。もともと主観的強度は 20歳代の若者を対象にして、その 10倍が心拍数に相当するように定められていた。年齢による補正をすると、ランニング初心者の場合、心拍数が (138 - 年齢 ÷ 2)が基準値ということになる。ということは、僕の場合 108 が基準となる。

「にこにこペース」と思われるスピード、つまり自分の主観的強度が 10-12 の(楽に走れる)ペースで、4分間走った後の心拍数を確認する。基準値に近ければそれが「にこにこペース」ということになる。基準値より心拍数が低い場合は、もう少しスピードを上げて再測定する。

もし基準値の心拍数をめざして走っても、主観的強度が 9 以下(かなり楽)であるならば、 (148 - 年齢 ÷ 2) という心拍数をめざして走る(僕の場合だと 118)。

同じスピードで走って、心拍数が下がってくるのは、トレーニングの効果が出てきた印。「トレーニング適応」と言って、体力が向上してきたのである。そうすると「にこにこペース」で走っても、心拍数は (148 - 年齢 ÷ 2) を超えることがある。目標心拍数を決めて、その心拍数を保つようにトレーニングすると、いつの間にか同じ心拍数でも速く走れるようになるらしい。

ランナーの故障についての記述も確認した。膝痛やシンスプリントと呼ばれる下腿の骨膜の炎症、アキレス腱炎が多く、その原因は、かかと着地、走り過ぎ、ペースが速過ぎることだという。

特に僕のようにアキレス腱が痛む人は、つま先で着地している可能性があるらしい。「スロージョギング」では衝撃が少ないフォアフット着地によるピッチ走法を基本とする。フォアフットは、つま先で着地するのではなく、足指の付け根で着地する。すなわち、親指の付け根から小指の付け根全体で均一に着地する。その場でジャンプ、その場で駆け足した時がフォアフット着地であり、その感覚を改めて確認するようにしたい。

田中宏暁『ランニングする前に読む本』 P.79 より引用

「スロージョギング」の走り方・やり方について、基本の2点に立ち戻って、もう一度見直してみようと思う:

  • 「にこにこペース」でゆっくり走ること
    • 心拍数を基準に客観的にペースを掴むようにしたい
  • 歩幅を狭くして、フォアフット(足の指の付け根)で着地すること

著者(故人)による動画解説も、改めて参考にしたい。


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ゆっくり走って、心拍数を測ってみた

早速、夕方、3km を 27分以上かけて、ゆっくり走ってみた。9.25分 / km、時速 6.5km。速歩きよりも遅いくらいのスピードである。このスピードであれば「楽に」走り続けられる。主観的強度で言うと 10 くらいかな。「るんるんペース」とまではいかない感じ?

走り終わった後の心拍数を、自分で脈を取りながら測ってみると、100 くらいになるだろうか。僕の年齢で初心者であれば、(138 - 年齢 ÷ 2) = 108 が「にこにこペース」の基準心拍数なので、100 ということはまだ余裕がある。自分が楽に感じる、つまり余裕がある時は (148 - 年齢 ÷ 2) = 118 をめざしてもいいらしい。いずれにせよ 100 という心拍数であるならば、もっとスピードを上げてもよいということだ。

そこで翌朝は 8.5分 / km(25.5分 / 3km)、時速 7km に上げてみた。主観的強度としては、このまま走り続けられそうだが「楽とは言えない」感じ。「ややきつい」の一歩手前、12 くらいだろうか。走り終わった直後の心拍数は 110。

たった2回の結果からの推測になるが、どうやら 8.5-9分 / km(25.5-27分 / 3km)、時速 6.7-7.0km が僕にとっての「にこにこペース」と言えそうである。

さらに 8分 / km(24分 / 3km)、時速 7.5km に上げてみたらどうなるだろう?経験上、このペースはきついと感じるはずだ。その時の心拍数はいくつだろう?

自分の身体で実験しているみたいで、ちょっと楽しみになってきた。