Muranaga's View

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久しぶりにトーハクに行き、伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」を観覧する(東京国立博物館)

東京国立博物館に、伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」を観に行く。トーハクに行くのは、「出雲と大和」展以来だから 1年9ヶ月ぶりということになる(コロナ禍で「鳥獣戯画」展に行くことはできなかった)。

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特別展「最澄天台宗のすべて」は、比叡山延暦寺天台宗を開いた最澄が亡くなって以来 1200年記念の展覧会である。

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会場に入って最初に目にするのは、天台宗ゆかりの人物たちを描いた国宝十幅である。中国・隋の時代に天台宗を開いた智顗に始まり、中国の僧たちの姿が並ぶ。最澄は『法華経』を土台とした「一切が菩薩であり、一切が成仏できる」という一乗思想を受け継ぎ、これを中心とする円教(完全なる教え)を日本天台の教義の柱とした。

それに密教・大乗菩薩戒・禅を加え、「円・密・戒・禅」の四つの柱を持つことが日本天台宗の特徴である。比叡山に学ぶ弟子たちによって、多様な展開を見せていく。最澄自身は、自分が学んだ密教が不完全であることを知り、年下の空海に教えを請うた。天台密教を確立したのは、最澄に続く円仁・円珍・安然らである。天台密教台密)の大きな特徴として、法華円教と密教を融合した「円密一致」の教えがある。円教と密教を優劣なく同等に、ともに一乗の教えとする。

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比叡山に学んだ学僧たちが、さまざまな宗派を開いた。浄土系の法然親鸞・一遍、禅系では栄西道元、法華系では日蓮などである。

比叡山は修行の場でもある。千日回峰行は生死をかけて行う修行であり、その映像も展示されている。

織田信長により焼き払われた比叡山を復興したのは、天海である。豊臣・徳川に仕え、幕政にも参加するようになる。家康を東照大権現として日光東照宮に祀り、上野に寛永寺を開いて、徳川家の菩提寺とした。東の比叡山東叡山・寛永寺である。そういえば今回の展覧会が開かれているトーハクは、もともと寛永寺の敷地に建てられている。

多様な発展を見せた天台宗。この展覧会では、全国各地にある天台宗の秘宝・秘仏が集められている。最澄は刀で薬師如来を彫り出し、それが比叡山・東塔の根本中堂の厨子に納められている。

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その根本中堂を再現した展示がある。最澄が灯して以来消えたことのない「不滅の法灯」が並び、その奥に帝釈天梵天・子神・丑神の像が並んでいる。

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展覧会場にあるミュージアムショップでは、迷った末に図録を購入せずに、『もっと知りたい 延暦寺の歴史』という本を買った。今回の展覧会に合わせるように出版された入門書で、前半は天台宗の名僧たちを紹介し、後半はその僧たちが活躍した比叡山延暦寺を紹介する。この本を参考にして、このブログ記事も書いている。