お休みをとったのに、あいにくの雨。美術館巡りをする。まずは都美(東京都美術館)。そしてリニューアルした三井記念美術館。
朝の渋滞を避けるべく、湾岸線からレインボーブリッジ経由で上野へ。「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展が都美で開催されている。
1859年創立のスコットランド国立美術館は、王侯貴族のコレクションを引き継いだ訳ではなく、当時の有力者からの寄贈であったり、作品購入の資金提供を受けたりして、何万点もの作品を集めている。
今回その珠玉のコレクションから約 90点が来日しており、西洋絵画史を辿っていく展覧会になっている。ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、ルノワールなど、ルネサンス期から19世紀後半までの巨匠たちの作品はもちろん、ゲインズバラ、レノルズ、ターナー、ミレイといった英国の画家たちの作品を鑑賞することができる(出展作品リスト PDF)。
巨匠たちの絵の中で、最初に目を引いたのはベラスケスの《卵を料理する老婆》。陶器の中で卵を揚げる様子が描かれている。ガラス、金属など様々な材質の器や静物、そして揚がっていく卵を質感豊かに描き分けている。後に「画家の中の画家」と呼ばれるベラスケスが、まだ18歳か19歳の時に、自分の実力を証明するかのように描いたものである。
巨匠たちの絵は、皆、その個性が感じられるものばかり。特に印象派はそれが顕著である。モネはモネ、ルノワールはルノワール、ドガはドガ。遠くからでもわかる。
英国を代表する風景画家というと、ターナーとコンスタブルになるだろう。ほぼ同い年の二人だが、当時最年少の27歳でロイヤル・アカデミー会員に選出されたターナーと、53歳になってからようやく会員になったコンスタブル。英国でのコンスタブルの生前の評価は低かったが、隣国フランスで評価されて、のちの印象派に影響を与えたと言われている。昨年観た「コンスタブル展」を思い出しながら、二人の絵の前に立つ。
展覧会の最後を飾るのは、雄大なナイアガラ瀑布をアメリカ側から描いた作品、チャーチ《アメリカ側からみたナイアガラの滝》である。これは米国の画家の作品だが、スコットランド出身で米国で成功を収めた実業家による寄贈である。
図録を購入。表紙となっている 3人の貴婦人の絵を描いたのは,、18世紀を代表する英国の肖像画家レノルズである。
『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』、『国立西洋美術館 名画の見かた』と言った本を手元に置いて、じっくり復習したい。