Muranaga's View

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板谷波山の多彩な陶芸に魅了される(出光美術館)

夏休みの美術館巡り。横浜そごうでのランチの後は、改装していた出光美術館を久しぶりに訪ねる。「生誕150年 板谷波山 -- 時空を超えた新たなる陶芸の世界」展。

その多彩な陶芸に心を奪われる。美しい器の形、多様な彫り紋様に、釉薬を使い分けることで美しい色を出す。当時のアール・ヌーヴォーの様式を参考にしたということらしいが、今でもモダンな印象を受ける。

その釉薬による彩色にはさまざまな命名がされている。特に葆光彩磁と名づけられた手法には「光のきらめきを隠す」という意味があり、透明度を落としてマットのような色調が実現されている。淡い色使いとあいまって、独特の魅力を醸し出している。

僕には珍しく陶芸の展覧会の図録を購入してしまった。波山という名前は、故郷の下館から見える筑波山に因んでいるとのこと。図録にこの展覧会の概要紹介があるので、引用する。

近現代陶芸の旗振り役の一人として評価される板谷波山(本名・嘉七、1872 - 1963)の生誕150年を記念して、その生涯と作品を紹介する回顧展を開催します。 彫刻的な技法と釉下彩(ゆうかさい)の技法に加えて、当時欧州で流行していたアール・ヌーヴォーの様式をいち早く受容し、それまでの日本陶磁史にない新しい波山独自の意匠表現を生み出した彩磁(さいじ)や葆光彩磁(ほこうさいじ)。一方で中国陶磁を中心に古典的な東洋の陶磁器をはじめとする工芸品を学習し、そこから青磁白磁などにも新しい表現を試みました。その表現の幅は一人の陶芸作家により生み出されたとは思えないほど、多様かつ創造性に溢れています。それは西洋や東洋、古典や現代を感じながら作陶し、模倣ではない独自の表現を求めていた軌跡であり、その結果、波山の作品は時空を超えた新しい陶芸の世界を創り出したとも言えます。彼の陶芸による表現の世界観は高く評価され、昭和28年(1953)には陶芸家として初めて文化勲章を受章しました。出光美術館の創設者である出光佐三(1885 - 1981)は、波山のやきもののみならず、その生き様にも魅了され、多くの波山作品を収集したことでも知られています。 本展では、波山の作陶への思いと作品の変遷を辿り、今でも色褪せることのない波山陶芸の魅力を紹介します。

さて出光美術館と言えば、数年前、ジョー・プライスコレクションを購入したことで話題になった。来年の年明けにはいよいよそのコレクションの展覧会が始まる。楽しみであるが、きっと混雑するんだろうなぁ。

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