Muranaga's View

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ミチオ・カク『神の方程式 「万物の理論」を求めて』:4つの力の統一理論をめざす科学者たちの挑戦

ミチオ・カク『神の方程式 「万物の理論」を求めて』は、究極の「万物理論」をめざす科学者たちの挑戦の物語である。一般相対性理論量子論は統合できるのか?重力、電磁気力、強い核力、弱い核力を統一して記述できる方程式は見出せるのか?その方程式はビッグバン以前の宇宙も描出できるのか?

物理学の歴史を振り返ると同時に、今後の展望についてもミチオ・カク博士の見解を知ることができる。明快かつ簡潔にまとめられた記述で、数時間で一気読みしてしまった。台風が来ていて、ゴルフをキャンセル。早起きしたのに悶々としていた午前中に、ちょうどよい読書となった。

大学でマクスウェルの方程式を学んだ時には、電気と磁気が同じ力であることが、一つの式に表わされていて感動したものである。その方程式は、電場が磁場を作り、磁場が電場を作る相互作用によって、電磁波が生まれるという現象も記述していた。僕の数学レベルで理解できたのはここまで。電磁気力は弱い核力、強い核力とも統一された「標準模型」の世界がある。

電磁気力、核力を統合した「標準模型」は、実用面で成功を収めているものの、複数の理論をつなぎ合わせたものであり、科学者たちは重力も含めて統一できる、よりエレガントな万物理論をめざしている。標準模型一般相対性理論の両方の量子補正が算出できる理論である。

その万物理論の有力候補が超ひも理論である。超ひも理論は対称性という美しさが正しさの根拠になっていて、実験による検証ができないという批判をカク博士は取り上げている。今まで見つかった理論は例外なく対称性や美しさを持つこと、実験による検証でなくとも、宇宙で観測される現象を説明することで間接的な証明ができると指摘、超ひも理論を追究する価値を説いている。