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人工知能の父、ミンスキーが亡くなり、囲碁プログラムが欧州のプロ棋士に勝った

先週、人工知能(AI)の父である Marvin Minsky 教授が亡くなった追悼記事)。Minsky が提唱したフレーム理論に触発された形で、知識表現システムを設計・実装したのが、入社して間もない 30年前である(第 2次 AI ブームの頃)。その後、研究所との共同研究時には何度か講演していただいたし、またその著書である "The Society of Mind" の原著を、研究グループの中で輪講したのもよき思い出である。「三歳児の知能を実現する」ことが、本質的な AI へのアプローチになると言われていた。

長期的な視野に立っていることもあり、一時、パーセプトロンなどのニューラル・ネットワークがブームになった時には、希少な人工知能研究者が一つのテーマに集中してしまうことへの懸念を表明して、その限界を証明して、ブームを終結させたことでも有名である。現在のディープ・ニューラル・ネットワーク、深層学習のもたらした第 3次 AI ブームをどのように見守っておられたのだろうか。合掌。

一方、Google DeepMind が開発した AlphaGo という AI が、囲碁のプロ棋士を破るレベルまで来たことが Nature にて発表された。3月には囲碁のトッププロと戦うらしい。2種類のディープ・ニューラル・ネットワーク(次の手を予測するネットワークと、盤面での勝者を評価するネットワーク)で、ゲーム木の探索を効率的に行うらしい。その機械学習には 3,000万手のデータを使ったとのこと。どれだけの規模の計算量になるのだろう。囲碁のシンギュラリティには、あと 10年はかかると言われていたと思うが、Google ならではの莫大な投資額があってこそのブレークスルーと言えそう。

AlphaGo に関する記事・概説へのリンクは下記の通り:

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