Muranaga's View

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ChatGPT に「Web3 って何?」「シンギュラリティは来るの?」と聞いてみた

このところ ChatGPT と会話して遊んでいる。ここ数年の自然言語処理 AI のブレークスルーを体感することができる。大規模言語モデルの能力の高さに驚くとともに、「教科書的」「無難」、ある意味 politically correct な、つまらない答えが返ってきて、フラストレーションを感じることもある。

openai.com

自分ではよくわからないことを、ざっくり知るのに、ChatGPT はよいツールだと思う。そこで「Web3 って何?」という質問を投げかけてみた。Web3 はブロックチェーンという分散データベース技術に支えられたエコシステムだと思うが、仮想通貨(暗号資産)やマイニング、NFT といった概念が難しいし、ときにメタバースと一緒に語られることもある。何が Web3 で何が Web3 でないのか?よくわからない。

正直、僕自身は Web3 について、伊藤穰一『テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFTで世界はこうなる』を読んだ程度の知識しかない。Joi Ito は、非中央集権的社会という明るい未来を予測しているが、僕自身は Web3 に関する何か胡散臭いイメージを拭うことができないでいる。

ブロックチェーンという分散データベース技術は素晴らしいと思うが、その上に作られている仮想通貨(暗号資産)、NFT といったトークン・エコノミーの怪しさ。非中央集権的で GAFA のようなプラットフォーマーに富が集中しない世界。その理想を謳っていながら、仮想通貨市場では先行投資した人たちが多くの富を得て、さらに価値が上がり続けると期待感を煽る。(日本のような一部の国では)リアル通貨に変換できないので、仮想空間の中でそうした期待を作っていくしかない。NFT はその典型に思える。そうやって作られた経済はバブルであり、必ずはじける。そして実際にはじけた。

そんな理解をしているので、ChatGPT に対する質問もちょっと意地悪なものになった。果たして ChatGPT はどんな答えを返してくるだろう?

暗号資産、仮想通貨についての ChatGPT の答えは、さすが無難、ごもっともである。より技術的な側面、ブロックチェーン技術について聞いていく。

Web3 上でアプリケーションを書くとはどういうことなのか。プログラミング言語は何なのか。それで作られるスマートコントラクトはどういうプログラムで何をするのか。

きっと DAO を立ち上げるのに、スマートコントラクトは必要なのだろう。

ついでに、メタバースも Web3 と一緒に語られることが多いので、違いを確認してみた。

なるほどねぇ。僕のバイアスのかかった問いに対しても、冷静に(当たり前か)、中立な答えを返してくる。ChatGPT、やはりよくできたシステムである。

僕自身は Web3 という怪しげなものよりも、ChatGPT のような地に足の着いた AI 技術の方に興味がある。ChatGPT の自然な会話はどうやって実現されているのだろう?ChatGPT はここ数年の自然言語処理 AI の進歩を具現化した AI である。それを構成している Transformer というニューラルネットワークアーキテクチャ、大規模な学習によってできた言語モデル、その応用可能性について、もっと知りたくなってきている

muranaga.hatenablog.com

そうそう、一時期 AI が進化すると、AI 自身が再帰的に知能を強化するシンギュラリティに到達して、人間の知能を超えていくという話が活発に議論されたことがあった。ChatGPT という AI に「シンギュラリティ」についても尋ねてみた。

ちゃんと答えを返してくれる。今の AI は学習用のデータがあるドメイン・タスクでは構築できるが、そうでないところでは作れない。ChatGPT を支える大規模言語モデル自然言語処理能力は凄いが、学習したデータ以外については答えられないし、生成したテキストは正しくない(嘘が含まれる)。シンギュラリティへの道のりはまだ遠いという、いわば当然の答えが返ってきた。

ChatGPT は検索エンジンと同じ文脈で語られることもあるが、用途は全く異なると思う。知らない概念をざっくり知るのは ChatGPT、より深く正確に知るには検索エンジンで見つけた Web ページをブラウズしまくって、自分で調べていくことになる。ChatGPT と会話することで、自分の知らない言葉も出てくるだろう。すると今度はその言葉を検索することで、より理解が深まっていくだろう。

検索エンジンBing が ChatGPT の言語モデルを組み込んで強化されるのは楽しみである。知的好奇心を満たすための探索方法が増えることになる。

wired.jp www.watch.impress.co.jp www.nikkei.com

一方、Transformer を発明し、BERT というモデルで検索エンジンを強化してきた Google次の一手も楽しみである。LaMDA という言語モデルに基づく質問応答システム Bard がリリースされるという。

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