Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

Book

「旧派」の日本画を見る:「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」(練馬区立美術館)

老親を見舞った帰りに、練馬区立美術館で開催されている展覧会「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」を見る。池上秀畝(しゅうほ)という画家の名前は初めて聞くが、高精細画人という副題に惹かれたのである。 展覧会のサイト(チラシ)から概要を引用する: …

祝・本屋大賞受賞!宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』

小説をあまり多くは読まないのだが、去年『成瀬は天下を取りにいく』がめっちゃ面白かったので、続編の『成瀬は信じた道をいく』を速攻で買い、一気読みした。テンポよく、ムダなく、キレのある文章の青春小説。個人的には最終話のオチが気持ちよかった。 1…

NHK BS テレビドラマ「舟を編む 〜私、辞書つくります〜」が秀逸。辞書を引きながら楽しんでいる

辞書を作ることに心血を注ぐ人たちを描いた三浦しをんの『舟を編む』。単行本だけでなく文庫本も持っていて、繰り返し読んでいる(文庫本には主人公・馬締光也が香具矢に宛てた恋文全文が掲載されているのだ)。 映画もよい出来だったと思うが、2月から放送…

Azure OpenAI Service:大規模言語モデルと連携するシステム構築を学ぶ

生成 AI は一般的な知識を学習した大規模言語モデル(LLM)で作られている。 それを実ビジネスに活用するには、企業内に固有な知識・文書を反映させる必要がある。それには事後学習(ファインチューニング)を行って、LLM 自体を強化するやり方もあるが、AI …

社内の知識レベルを合わせるべく、『生成 AI 導入の教科書』を読む

デジタルマーケティングのための Web サイト構築、映像制作を生業とする会社にいるので、生成 AI の活用は必須マターである。 muranaga.hatenablog.com 昨年(2023年)末、僕が目を通した以下の本を候補に、読書会・勉強会を企画した。 生成AI時代の「超」…

「マティス 自由なフォルム」展(国立新美術館)

国立新美術館で開催されている展覧会「マティス 自由なフォルム」に出かける。 フォービズムで有名な20世紀の巨匠マティスは、後半生をフランスのニースで過ごした。今回の展覧会には、ニース市美術館のマティスのコレクションが出品されている。 matisse202…

帝国ホテル、浮世絵…。巨匠と日本のつながりを知る「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展(パナソニック汐留美術館)

国立西洋美術館でキュビスムを学び、19世紀のアカデミーの絵画を見た後は、パナソニック汐留美術館で開催されている「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展に出かける。午後から行ったためだろうか、かなりの混雑で、会場に入るまでに 20組ほどの列…

キュビスムとは対照的!「もうひとつの19世紀 ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち」展(国立西洋美術館)

「キュビスム展」を見た後は、西洋美術館の「Cafe すいれん」で中庭を眺めながら、「トリュフ香る茸のアーリオ・オーリオ」のランチ。藤田真央のエッセイ『指先から旅をする』をちょうど読んだばかりで、そのアーリオ・オーリオ好きがわかっていたので、つい…

「キュビスム展―美の革命」は、新たな学びの機会(国立西洋美術館)

閉幕まで 2週間。ようやく「キュビスム展—美の革命」に出かける。現代美術が苦手な僕にとって、その先駆けとなるキュビスムは「わざわざ見に行かなくてもいいかな」という位置づけの展覧会だったのだ。そもそもキュビズム(「ス」ではなく「ズ」)だと誤解し…

藤田真央による至福のブラームス: ピアノ協奏曲第2番を読響の客演で堪能した(サントリーホール)

チケットが取りにくくなり、「追っかけ」が難しくなってきた藤田真央のコンサート。読響(読売日本交響楽団)の会員である友人が、客演公演のチケットを取ってくれたおかげで、思いがけず半年ぶりに真央君の演奏を楽しむことができた。 muranaga.hatenablog.…

西洋の影響を受けながら独特のエネルギーがほとばしる「激動の時代 幕末明治の絵師たち」展(サントリー美術館)

このところ、平安時代からから室町時代のやまと絵、江戸時代の余白の美術と日本美術の展覧会を時代順に見てきたが、さらに時代は下って幕末明治の日本絵画を見に、サントリー美術館で開催されている「激動の時代 幕末明治の絵師たち」展に出かける。 www.sun…

1年ぶりに静嘉堂@丸の内へ。「特別展 二つの頂 ― 宋磁と清朝官窯」で美しい中国陶磁を見て学ぶ(静嘉堂文庫美術館)

出光美術館で江戸時代の美術を楽しんだ後は、ADRIFT by David Myers にて美味しいランチ。食後は静嘉堂文庫美術館(通称:静嘉堂@丸の内)へ向かう。 www.seikado.or.jp adrift-tokyo.owst.jp 実は先日、銀座の割烹「ちくぜん」のおかみさんから招待券を分…

「つまらない」絵をテーマにした「江戸時代の美術—『軽み』の誕生」展(出光美術館)

先週、平安時代から室町時代までの日本絵画、やまと絵の名品を堪能。今週はさらに時代が下り、江戸時代の美術を楽しむべく、久しぶりに出光美術館を訪ねる。 今回の「江戸時代の美術—『軽み』の誕生」展は、狩野派の盟主、狩野探幽が提唱した「つまらない」…

平安から室町までの日本美術を振り返る「特別展 やまと絵 ー 受け継がれる王朝の美 ー」にて、国宝・四大絵巻を堪能する(東京国立博物館)

10月11日から22日までの期間、国宝の四大絵巻が同時に見られるというので、始まったばかりの東京国立博物館(トーハク)で始まった「特別展 やまと絵 ー 受け継がれる王朝の美 ー」にいそいそと出かける。 yamatoe2023.jp 休日は事前予約が必要である。この…

海と生物との関わりを学ぶ「特別展 海 ー 生命のみなもと ー」(国立科学博物館)

国立科学博物館で開催されている「特別展 海 ー 生命のみなもと ー」に行く。夏休みの間は激混みだろうと思い、9月末の週末まで待ったのだが…。開館直後の時間帯から、家族連れでなかなかの混雑ぶりであった。開催が 10月 9日までと迫ってきているからかもし…

美術館巡り:見る者の感覚が揺さぶられる「ジャムセッション 石橋財団コレクション x 山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」(アーティゾン美術館)

会社休日の美術館巡り。東京都美術館の「永遠の都 ローマ展」から、アーティゾン美術館の「ジャムセッション 石橋財団コレクション x 山口晃」へ。 muranaga.hatenablog.com www.artizon.museum 三浦しをん『風が強く吹いている』の単行本のカバーを手がけて…

膝の痛みに効くという「ステップ運動」をやってみた

スロージョギングを提唱する『ランニングする前に読む本』において、雨が降るなど、スロージョギングができない時に、室内でできる運動として勧められているのが、ステップ運動である。昔の踏み台昇降運動。 高さ 20cm の台を 4秒に 1回の昇り降りをするペー…

閉館前の美術館は好きな作品を独占できる:「テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ」(国立新美術館)

千住真理子さんのリサイタルを聴くために、午後お休みを取ったこの日は、夜、六本木で友人たちとの会食が予定されている。横浜みなとみらいでのリサイタルを終えて、六本木に向かっても会食までに1時間半ほど時間がある。そこで国立新美術館の「テート美術…

毎日 5km、時速 7km のウォーキングを続けている

6月はゴルフに行った日や大雨の日を除いて、ほぼ毎日 5km ウォーキングした。半年前に怪我をした右膝にはサポーターを巻いている。再び膝を痛めるのが怖くて、ランニングはまだできない。とは言え、最近は 8分30秒 / km と、スロージョギングとほぼ同じくら…

やはり凄いとしか言いようがない「ガウディとサグラダ・ファミリア展」(東京国立近代美術館)

東京国立近代美術館で開催されている「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に出かける。建設が始まってから 140年経った今も未完成なサグラダ・ファミリアが、いよいよ最終段階を迎えるとのことで、それを紹介する展覧会である。 遠いスペインで何だか凄い建…

ついに木島櫻谷の《寒月》に会えた(泉屋博古美術館東京)

絶対に一度は実物を見たかった絵がある。それは木島櫻谷このしまおうこくの《寒月》である。 泉屋博古美術館東京にて「特別展 木島櫻谷 ― 山水夢中」が開催されており、《寒月》は 6月3日から18日までの期間限定展示となっている。6月3日初日にいそいそと出…

ゴルフが中止になったので GINZA chez tomo で家族サービス

会社休日でコンペが予定されていたが、台風の影響で全国的に大雨となり、ゴルフは中止となった。 平日休みのいい機会なので、家族サービス(ご機嫌とり、とも言います)。銀座シェ・トモ(GINZA chez tomo)でランチ。雨が降っていることもあってか、スムー…

ChatGPT をはじめとする生成 AI のブレークスルーに、ワクワクしている

ここ数年の自然言語処理 AI のブレークスルーを体現したのが ChatGPT である。応答としては「教科書的」だし、正しくない応答をするといった問題もあるが、大規模言語モデル(GPT-3.5)を基盤として、人間との自然な対話を実現していることは本当に凄い。GPT…

さまざまな愛のかたちが示される「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)

ルーヴル美術館から愛をテーマにした絵画が来日している。国立新美術館で開催されている「ルーヴル美術館展 愛を描く」。 www.ntv.co.jp Web サイトにある展覧会の概要を引用する: ルーヴルが誇る珠玉の“愛”の絵画が一堂に! 人間の根源的な感情である「愛…

「重要文化財の秘密」を知る(東京国立近代美術館)

連休の最終日は、東京国立近代美術館 70周年を記念して開催されている展覧会「重要文化財の秘密」に行く。 明治以降の近代美術作品が初めて重要文化財に指定されたのは 1955年。現在、国指定の重要文化財は 10,872件あるが、明治以降の絵画・工芸・彫刻に限…

「土門拳の古寺巡礼」展で、クローズアップされた仏像の表情に魅せられる(東京都写真美術館)

東京都写真美術館で開催されている「土門拳の古寺巡礼」展に足を運ぶ。土門拳のライフワーク『古寺巡礼』刊行から 60年を記念して開催されている展覧会である。 室生寺弥勒堂 釈迦如来坐像左半面相 室生寺金堂 薬師如来立像、十一面観音立像、十二神将立像 …

仏教芸術の宝庫である大伽藍と、忘れられた画聖・明兆の魅力をあますところなく伝える「特別展 東福寺」(東京国立博物館)

週末はあいにくの雨だが、花見の人出も落ち着いたと思われる上野へ、博物館・美術館巡りに出かける。 まずは東京国立博物館、トーハクの「特別展 東福寺」へ。正直、東福寺が凄い仏教美術の宝庫だとは知らなかったのだが、BS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」…

「リバーサルオーケストラ」最終回!Hulu を再契約して「ビハインドオーケストラ」も観てしまった

テレビドラマ「リバーサルオーケストラ」は、地方のポンコツオーケストラが、世界レベルの指揮者とコンマスとともに一流のオーケストラに成長していく物語。登場するキャラクターの魅力、いかにも「ありそう」な人間ドラマ(認知症と音楽の話は、個人的にも…

愛車をディーラーで修理している間に、村上春樹の短編集を読む

ディーラーでの車の修理の待ち時間は、読書タイムでもある。セルフサービスでエスプレッソ系のコーヒーが飲めて、ちょっとしたカフェにいる気分。読書に疲れたら、展示車を眺めるのもいい。 一人称単数 (文春文庫 む 5-17)作者:村上 春樹文藝春秋Amazon そん…

ChatGPT に「Web3 って何?」「シンギュラリティは来るの?」と聞いてみた

このところ ChatGPT と会話して遊んでいる。ここ数年の自然言語処理 AI のブレークスルーを体感することができる。大規模言語モデルの能力の高さに驚くとともに、「教科書的」「無難」、ある意味 politically correct な、つまらない答えが返ってきて、フラ…