1泊2日の小旅行となると、つい箱根を選んでしまう。気軽に美術館と温泉、美味しい食事を楽しむことができる。今回もポーラ美術館へ向かう。
muranaga.hatenablog.com
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朝 6時半ごろ横浜の自宅を出発。横浜青葉から横浜町田までの区間が渋滞するので、環状2号線・国道16号線の下道ルートを使って回避してみた。
快晴で東名高速からも美しい富士山を望むことができた。足柄SA で朝食。


9時過ぎ、開館直後のポーラ美術館へ到着!




www.polamuseum.or.jp
「SPRING わきあがる鼓動」展が開催されている。Web サイトからこの展覧会のコンセプトを引用する:
春、生命が再生する時間。テクノロジーが社会を覆い尽くす現代において、私たちは身近な自然の驚異や足元に広がる土地の記憶、そして人間の内なる根源的な力を見つめ直し、いっそう鋭敏に感じ取ろうとしています。本展覧会「SPRING(スプリング)わきあがる鼓動」は、アートにおける飛躍する力に光をあて、人間やこの世界の奥底から春の芽吹きのようにわきあがる鼓動を宿し、私たちの感性をゆさぶる絵画、彫刻、工芸、インスタレーション作品を紹介します。
ポーラ美術館は、古くから人々の心身を癒し、感性を研ぎ澄ます場として旅人を惹きつけてきた箱根にあります。本展覧会では、この地に培われた風土と記憶を出発点に、過去と未来、ここから彼方へとつながる想像の旅へ皆様を誘います。静かに、あるいは力強くわきあがる作品の響きと共鳴し、時空を超えて豊かに躍動する創造の鼓動をご体感ください。
大巻伸嗣《Liminal Air Space-Time》 2015年
歌川広重(初代)《東海道五十三次之内 箱根湖水図》1833-34年
杉本博司《富士図屏風、大観山》2024年
杉本博司は「富士山は二つあった」と言う。18年前に大爆発を起こす前の箱根山は 2,700メートル。縄文時代後期に大爆発を繰り返す前の富士山は 3,000メートル。かつては両雄並び立っていたのだ、と。爆発で山頂がカルデラ陥没を起こし、芦ノ湖ができた現在の箱根と、その背後にそびえ立つ富士山を対照的にとらえた屏風に、両雄のそれぞれの宿命が表現されている。
丸山直文《水を蹴る・仙石原(そこでは)》2023年
小川待子《Water Disc》2024年
ポーラ美術館のコレクション、特に印象派の作品は素晴らしいと思う。
モネ《サン=ラザール駅の線路》1877年
モネ《散歩》1875年
モネ《セーヌ河の日没、冬》1880年
モネ《睡蓮の池》1899年
モネ《睡蓮の池》1899年
モネ《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》1900年
モネ《サルーテ運河》1908年
ゴッホ《ヴィゲラ河にかかるグレーズ橋》1888年
スーラやが生み出した点描技法が好きである。それは混色を行わずに色を点で置き、異なる色が隣り合うことで生じる人間の視覚作用を、意図的に活かしたものである。スーラは色彩の科学に没頭し、線や平面、陰影によってヴォリュームを表現してきた絵画から、まったく新しい視覚の世界を開いた。スーラが見つけ、盟友シニャックが受け継いだ点描技法は、明るい色彩の効果と、点の反復による独特のリズムをもたらした。
スーラ《グランカンの干潮》1885年
スーラ《グランカンの干潮》1885年
シニャック《フリシンゲン湾》1896年
シニャック《オーセールの橋》1902年
シニャック《オーセールの橋》1902年
ルソーの絵も、不思議な素朴感があって好きである。
ルソー《飛行船「レピュブリック号」とライト飛行機のある風景》1909年
ルソー《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》1896-98年
ルソー《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》1896-98年
現代の彫刻家、名和晃平の PixCell-Deer には、ちょっと度肝を抜かれた。ガラス玉で構成された鹿。近づいてみると、ガラス玉の表面の中には、鹿のはく製があるのがわかる。デジタル画像の「Pixel(画素)」と、生物の最小構成単位「Cell(細胞)」をかけ合わせた独自の概念「PixCell」を具現化したものである。
名和晃平《PixCell-Deer#74》2024 年
名和晃平《PixCell-Deer#74》2024 年
名和晃平《PixCell-Deer#72 (Aurora)》2022 年
「SPRING わきあがる鼓動」展以外にも、ルノワール、ドガ、マネといったポーラ美術館所蔵の作品が展示されている。
もう一つの企画展として、HIRAKU Project Vol.17 ヤマダカズキ「地に木霊す」が開催されていた。展覧会概要を Webサイト から引用する:
細かく砕いた色とりどりの石を組み合わせて画面をつくる、伝統的なモザイク技法を用いる気鋭の若手作家ヤマダカズキによる美術館での初個展。油彩画に比べて陰影や細密な描写を持たないモザイクの「解像度の低さ」に着目した作家は、それを地域に伝わる民話や神話の不確かさと重ね合わせながら、曖昧さを含む伝承を石によって可視化する作品を制作してきました。本展では、ひたすら石を割り続けるというモザイク制作における反復行為を、山に住む精霊によって森に反響する「こだま」に喩え、これまでの代表作と、箱根にまつわる伝承を取り上げた過去最大の最新作によって会場を構成します。明瞭さや再現性ばかりを追い求める現代において、静かに鳴り響く石の声は、我々に何を問いかけるのでしょうか。

ヤマダカズキ《熊と怪童丸》2025年
ヤマダカズキ《芦ノ湖の九頭龍》2025年
ヤマダカズキ《芦ノ湖の九頭龍》2025年
ミュージアムショップで買い物をしているうちに、レストラン「アレイ」の開店時刻となった。





ゆったりした時間を過ごして、ポーラ美術館をあとにした。