Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

教養書への読書ガイド

『文藝春秋 2008年 12月号』の特集「21世紀図書館 --- 必読の教養書二百冊」では、立花隆佐藤優がそれぞれ必読の教養書 100冊づつを選んでいる。

二人の対談の冒頭にも出てくるが、『東大教師が新入生にすすめる本』『教養のためのブックガイド』『大学新入生に薦める101冊の本』などを、僕は読書ガイドとして参照している。教養学部の学生向けということで、さまざまな分野の学問の入門書が紹介されているからだ。

文藝春秋 2008年 12月号 [雑誌] 東大教師が新入生にすすめる本 (文春新書) 教養のためのブックガイド 大学新入生に薦める101冊の本

最近の論考にはなかなかついていけないところがあるのだが、立花隆『ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論』『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』『ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』も、読書ガイドとしては有用だ。

ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫) ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫) ぼくの血となり肉となった五〇〇冊 そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊

そして極めつけは『松岡正剛千夜千冊』出版社のサイト)だろう。本屋で並んでいるところを見たことがあるが、1,000ページ以上もの大部が 8冊セットとなっており、壮観であった。ウェブ上の連載を本としてまとめたものである。値段も 10万円弱もする代物である。

これはさすがに高価だし、10万円も読書ガイドに費やすくらいなら、本を買ってしまった方が早い。その代わり、『千夜千冊』のエッセンスを紹介する『ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝』がある。巻末に『千夜千冊』で紹介された本のリストが掲載されている。

ちょっと本気な千夜千冊虎の巻―読書術免許皆伝 松岡正剛千夜千冊(8冊セット)

ビジネス書はあまり読まなくなった。似たような内容の本が溢れているからだ。他の人と話をするために、流行りの経営コンセプトを確認したり(たとえば「イノベーションのジレンマ」「ブルー・オーシャン戦略」)、ベストセラーとなっている本に目を通したりはするものの、ビジネススクールの教科書にある概念や基本的なフレームワークさえ押さえておけば、あとはその応用に過ぎないという気がする。もう少し経験や年齢を重ねるとまた志向が違ってくるのかもしれない。たとえば今の僕だと、ドラッカーはなかなか読み通せない。一つ一つの言葉の含意が深いというか重過ぎて、疲れてしまうのだ。感動したという人、影響を受けたという人も僕の周りにいるので、一度はきちんと向き合って読み通してみたいと思っているのだが。

本は、やはり友人・知人からのお薦めが一番である。特に小説はそうだ。水村美苗はその典型的な例であり、友人からの紹介がなければ『本格小説』を知ることはなかっただろう。また梅田さんの言及がなければ、最新作『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』を読むこともなかったと思う。