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10,000語レベルのボキャビルへの助走:『990点レベル TOEIC TEST スーパーボキャブラリービルディング』

The Economist のような英文雑誌をできるだけ辞書なしに読みたい。」そう思って 10,000語を超えるレベルの語彙増強(ボキャビル)に取り組んでいる(僕の現在の受容・認識語彙レベルは 7,000-8,000 語と推測)。

小型の英英辞典を丸ごと覚えるという驚異的な学習方法もあるのだが、達成感を得るには2年くらいかかりそうなので、飽きっぽい僕には無理。市販の単語集に地道に取り組むことにした。これだと数ヶ月で一通り読み終えることができ、単語を覚えたつもりになって、ちょっとした達成感を味わうことができる。

10,000語レベルの単語集として選んだのは、植田一三氏の『スーパーボキャブラリービルディング』シリーズ。著者独特の個性が表れており、癖のある本なので、合う人と合わない人がいるかもしれない。このシリーズの特徴は、1日分の学習量が示されており、ペース配分の目安となることである。実際には1日ではとても覚えきれず、数日、場合によっては1週間かかる量であったりする。

TOEIC TEST スーパーボキャブラリービルディング(CD BOOK)

TOEIC TEST スーパーボキャブラリービルディング(CD BOOK)

発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング(CD3枚付) (CD BOOK)

発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング(CD3枚付) (CD BOOK)

『発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング』は、英文雑誌を辞書なしで読めるレベルをめざしており、グーグル名誉会長の村上憲郎氏お薦めの単語集である。僕の目標にぴったりの本なのだが、残念ながら今の僕には難しい。急がば回れ。易しめの教材を何度もやるべき、という語学学習の原則にのっとり、僕はまず『990点レベル TOEIC TEST スーパーボキャブラリービルディング』に取り組んだ。こちらは『10000語レベル』よりも TOEIC を意識しており、パート別に分かれている。全体的に 5,000-6,000 語レベルの基本単語の多義性とコロケーションに重点が置かれており、特に基本語彙の派生語を系統的にカバーしているので、関連づけて覚え易い。たとえば compelling, compulsive, compulsory など compell の派生語で混同しやすい単語をまとめて、その違いを意識しながら覚えることができる。また express は形容詞としては「明確な」という意味を持ち、sanction は動詞としては「認可する」という意味になるといった、学習者が間違い易い多義性について随所で言及されている。

ニュースや雑誌などに出る分野別語彙についても、8,000語レベルのものが収録されているそうなので、この『990点レベル』は、『DUO 3.0』の後に学習するのにちょうどよいレベルではないだろうか。まったく知らない単語がずらりと並んでいる『10000語レベル』よりも、負荷が軽く、取り組み易い。さらにところどころにクイズを入れるなど、学習者を飽きさせない工夫がしてあり、気分転換しながら取り組むことができる。

一方、この本に改良点として望むのは、発音記号の記載である。実際に声に出して記憶するためにも、発音記号は必要だと思う。発音を確かめるために、いちいち CD を聞いたり、辞書を引いたりするのは効率的ではない。いや、もしかすると辞書を引かせるために、あえて発音記号を載せていないのかもしれない。

僕はこの『990点レベル』を2010年7月中旬から12月中旬まで、5ヶ月ほどをかけて2回繰り返した(途中 1ヶ月ほどサボっている)。1日の学習時間は30分程度。実を言うと、1回目はほとんど単語を覚えることができず、知らない単語をマークしただけに終わってしまった。先に進むことだけを考えて復習を繰り返さないと、どんどん記憶からこぼれ落ちていってしまう。その反省に立って 2回目はその日覚えた分だけでなく、前日、前々日、それ以前の分…、と何度も復習しながら、少しづつ進めていった。この何度も壁を塗り直すような進め方については、『中上級者がぶつかる壁を破る英語学習最強プログラム』が参考になる。

それにしても、こうやってボキャビルをやっていると、自分の記憶力のなさ、あるいは衰えを痛烈に感じさせられて、がっかりする。もっと若いうちにボキャビルに取り組んでいれば、と反省することしきりである。

参考

以下、恥を忍んで、『990点レベル』の学習の足取りを示す僕のメモを掲載する。

  • 2010年7月16日:開始
    • CD を併用して発音の確認・音読・例文のシャドウイングを行っている。ただ1-2回繰り返しただけではなかなか身につかない。前日、前々日の分はどんどん記憶から失われている。何度か「塗り直して」いくしかないのだろう。ボキャビルには忍耐が必要だ。
  • 2010年8月8日:始めて数週間
    • 日によってはほとんど知らない単語が並んでいて、眺めていると眠くなる。まったく覚えられないのでストレスも溜まる一方。特に僕の場合、日常生活用語がかなり poor である。また病気・医療分野はまったく歯が立たない。
  • 2010年10月19日:始めて3ヶ月で、読了
    • ようやく読了。途中、海外出張が入ったりして、数週間サボった。しかも最後の方はほとんど惰性。記憶すると言うより、目を通して、知らない表現をチェックしただけに終わる。まったく覚えられない。全然ボキャビルにならなかったのは、本のせいではなく、ひとえに僕の努力不足・やり方の問題である。
  • 2010年10月25日 - 11月20日:2回目を開始
    • 知らない単語をマークしただけにとどまった1回目の反省を踏まえて、気を取り直して、2回目に挑戦。今度は何度も復習をして少しづつ進捗させるやり方。
    • 1ヶ月ほどかけて派生語6日分を3-4回繰り返して覚える。
  • 2010年11月21日 - 23日
    • 分野別語彙5日分を3回繰り返す。医療系はなかなか頭に入らない。
  • 2010年11月24日 - 27日
    • 形容詞3日分。分野別の復習も続ける。
  • 2010年11月28日 -12月5日
    • 動詞4日分。分量が多くなったため、1日分に2日要している。なかなか前日、前々日、…の復習ができない。
  • 2010年12月6日 - 9日
    • 形容詞3日分、動詞4日分の復習。
  • 2010年12月10日 - 11日
    • 前置詞3日分。このパートは少し易しい。
  • 2010年12月11日 - 17日
    • 写真描写、応答表現、英文レターなどアウトプット系は何度か CD のシャドウイングを繰り返すことで、覚えたことにする。
  • 2010年12月18日:2ヶ月かけて 2回目を終了
    • 3回目をやるべきか迷ったが、だいぶ飽きてきたので、『10000語レベル』に挑戦してみることにする。

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