Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

南極観測を知る

映画「南極料理人」を DVD で観て以来、わが家では南極がちょっとしたブームである。「南極料理人」は極寒のドームふじ基地で越冬する南極観測隊を、食事をメインの題材にして、淡々とユーモラスに描いている。極地、しかも一日中太陽が顔を出さない極夜の季節。逃げ場のない閉鎖空間の中で研究者とスタッフはどう暮らしているのか。その時に食事の果たす役割は?緩さが心地よく、味わい深い映画である。

南極料理人 [DVD]

南極料理人 [DVD]

当然、その原作も読んでみる。これもまた面白い。

面白南極料理人 (新潮文庫)

面白南極料理人 (新潮文庫)

『面白南極料理人』は第38次観測隊。この次の第39次観測隊からは女性研究者が越冬している。その手記が『南極に暮らす』である。この本の巻末には、極地研究所の神沼名誉教授が南極観測の歴史を手短に解説しており、わかり易い。

南極に暮らす―日本女性初の越冬体験

南極に暮らす―日本女性初の越冬体験

第45次観測隊には女性新聞記者が越冬隊に同行して、1年4ヶ月に及ぶ取材をしている。しかも昭和基地に留まらず、1,000km 離れた高度3,800mのドームふじ基地まで出かけて越冬する。『こちら南極ただいまマイナス60度』はその毎日書き続けられた女性記者の日記である。圧巻はドーム基地に向かう雪上車での約1ヶ月に及ぶ閉鎖された生活。雪上車の上で寝食を共にし、極寒の野外で用を足す。雪上車は一日10kmと進めない日もあり、トラブルも続く。一歩間違えば命を失う。男性でも厳しい生活が強いられる中、毎日レポートを送り続けた女性記者のたくましさに脱帽である。

こちら南極ただいまマイナス60度―越冬460日のホワイトメール

こちら南極ただいまマイナス60度―越冬460日のホワイトメール

こういう手記を読んでいると、そもそも南極観測とは何をやっているんだろう?と興味が沸く。『南極ってどんなところ?』は越冬隊の研究者、サポートスタッフ、記者による解説集。雪氷、気象、生物、隕石などの研究分野を紹介する。『南極の科学』はさらに詳細な紹介。

南極ってどんなところ? (朝日選書)

南極ってどんなところ? (朝日選書)

最後に。『世界一空が美しい大陸 南極の図鑑』の写真は本当に美しい。

世界一空が美しい大陸 南極の図鑑

世界一空が美しい大陸 南極の図鑑