電力系統の勉強をするために下記の本を読んでいる。つくづく思うのは、長年電機メーカーに勤めていながら、電気がどのように作られ、自分たちのもとに届けられているか、ほとんど知らなかったということ。コンセントに差し込めば、当たり前のように電気が使える。この利便性がどのようにして実現され、日々支えられているかについて、自分はあまりに無知だったと思う。言い訳をさせてもらえば、デジタルの世界、つまり電気は直流・12V 以下の世界に生きてきたということになるのだろうが…。実際、交流と言われてもそのイメージがピンと来ないし、三相交流に至っては、戻りの電線を省略できるとか、単相交流が取り出しやすいとか、「へぇー」という感じで読んでいる。
その昔、ユーティリティ・コンピューティングと言われたように、電気や水のように計算機のパワーが使える世界を、クラウドコンピューティングはめざしている。電力系統の発達の歴史に何を学ぶか。そして電力系統の世界に、ICT を持ち込んだスマートグリッドでは何が可能になるのか。そんなことを考えながら読んでいる。

- 作者: 福田務
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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電気が作られて家庭に送られるまでを紐解く入門書。

「電力系統」をやさしく科学する―電力自由化徹底Q&A (電気新聞ブックス)
- 作者: 藤森礼一郎,電気新聞
- 出版社/メーカー: 日本電気協会新聞部
- 発売日: 2002/12
- メディア: 新書
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パワーシステムの翻訳が「電力系統」。消費に合わせた電力の供給を安定・安全に実現するために、中央給電司令所がどのように計画をたて、日々の需要変化に合わせて対応しているか、その一端を垣間見ることができる。数分以上の比較的長い制御は、中央給電司令所が行い、数10分後の需要の変化に追従するために、あるいは周波数のズレを検知して、発電機への出力割り当てが自動的に行われる。数分以下の細かな変化は、発電機自体が周波数偏差を検出してタービンの回転数が一定になるように調整している。

- 作者: 岡本浩,藤森礼一郎
- 出版社/メーカー: 日本電気協会新聞部
- 発売日: 2008/07/08
- メディア: 単行本
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電力系統入門。首都圏をはじめ日本の系統の他、海外も扱っている。東京でクレーン船が送電線を切断した時の停電をどう復旧させたかを事例にしている。さらに電力自由化のさまざまな仕組みとそのpros&consを示している。

- 作者: 合田忠弘,諸住 哲
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2011/02/24
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- 作者: 林泰弘,岡本浩,林秀樹,濱坂隆,伊奈友子,坂本紀代美
- 出版社/メーカー: 日本電気協会新聞部
- 発売日: 2010/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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スマートグリッド技術入門。太陽光発電・電気自動車などの普及による逆潮流・周波数変動に対応するために蓄電池の果たす役割が大きいことを改めて認識した。またキーとなるソフトウェアシステムであるμEMSがどういう機能を持っているかがわかったのも収穫。
最初の一行にスマートグリッドが定義されている。すなわち「スマートグリッドとは、エネルギーの安定供給、CO2排出量削減による環境適合、経済効率性の同時達成を目的として、アナログの物理量である『電気』の流れを『情報』というデジタルデータを用いて『賢く』最適にコントロールするための電力ネットワークと情報通信ネットワークの融合ネットワークである。」

- 作者: 横山明彦,林泰弘,浅野浩志,坂東茂,合田忠弘
- 出版社/メーカー: 日本規格協会
- 発売日: 2010/06
- メディア: 単行本
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