手塚雄二さんの絵が好きだ。横浜・そごう美術館で開催されている展覧会、寛永寺創建四百周年 根本中堂天井絵奉納記念「手塚雄二展 雲は龍に従う」に行く(チラシ、鑑賞ガイド、いずれも PDF)。
2025年に寛永寺根本中堂に天井絵として奉納される《叡嶽双龍》を間近で見られる最後の機会である。6m x 12m という大きさの天井絵は、25枚の板材を組み合わせている
鑑賞ガイド(PDF)によると、墨で描いた後に白土(はくど)をのせ、上から再度墨書きをする。やまと絵に由来する描き方で、いずれ白土が剥落しても下から墨絵の龍が出てくる。後世に伝わる天井絵ならではの工夫らしい。
そして板材に合わせて、中国・明時代の貴重な墨「明墨(みんぼく)」を使っている。また重なる雲はグレー部にプラチナ泥、金色に金泥をふんだんに使っている。稲光や炎には金箔を用いて強く輝かせている。
『手塚雄二作品集 雲は龍に従う』に詳しい制作秘話がある:
天井絵を見た後は、手塚雄二らしい日本画の数々をじっくり堪能した。今回、写真撮影が OK なのが嬉しい。以前、院展の時にも感じたが、他の日本画と比べて際立っているというか、レベルが違うと感じている。「荘厳」というような言葉を使いたくなる、見事な自然の描写である。
帰宅後は、5年前に買った『手塚雄二作品集 光を聴き、風を視る』を、ゆっくり見直した。