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見たことのない北斎の絵に出合える「大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―」展(サントリー美術館)

北斎すみだ美術館をはじめ、いくつもの「北斎展」に行き、葛飾北斎の作品はかなりの数見たと思う。たとえば 3年前の「新・北斎展」は圧巻のボリュームであった。だが今回、サントリー美術館で開催されている「大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―」展は、今までに見たことのない北斎の絵に、いくつも出合える展覧会であった。英国にも北斎のコレクターは何人もおり、彼らから大英博物館が入手したコレクションが展示されている。

この展覧会では、還暦を過ぎてから亡くなる 90歳までの画業にフォーカスを当てている。画壇に登場してから還暦までの中で代表作と言えるのが《為朝図》で、金の切箔が撒かれており、北斎の中でも最も技巧を凝らした作品の一つである。

葛飾北斎《為朝図》(1811年)

代表作とも言える《冨嶽三十六景》は70歳を過ぎてからの画業である。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》

今までに見たことがなかった作品は、《百人一首うばがゑとき》のシリーズである。百人一首の挿絵を描くもので、北斎は 91 もの版下絵を仕上げ、実際に錦絵になったのは 27図であった。当初の版元が破産してしまったからである。

晩年の肉筆画も素晴らしい。水中と水上の対比が面白い《流水に鴨図》などが展示されている。自らを「画狂老人」と称し、最期まで気力と体力に満ち溢れていた北斎が感じられる。

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