Muranaga's View

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「カナレットとヴェネツィアの輝き」展:精緻な景観画(ヴェドゥータ)を堪能する(SOMPO美術館)

SOMPO美術館で開催されている「カナレットとヴェネツィアの輝き」展に行く。カナレットは 18世紀の風景画の巨匠である。スコットランド国立美術館などのコレクションを中心に、ヴェネツィアを精緻に描いた作品が展示されている。

www.sompo-museum.org

展覧会のみどころを Web サイトから引用する:

  1. 日本初!ヴェドゥータの巨匠、カナレット展 18世紀のイタリアでカナレットが確立した「ヴェドゥータ(景観画)(*1)」。本展はカナレットの画業を日本で初めてご紹介するとともに、ヴェドゥータ成立の歴史とカナレット以後の展開を本格的に取り上げる日本初の展覧会です。

  2. 海、光、祝祭 ―― カナレットでめぐるヴェネツィアへの旅 カナレットによるヴェドゥータは、「グランド・ツアー(*2)」でイタリアを訪れた英国の上流階級が旅の記念としてこぞって求めたいわば「名所絵」。精密な透視図法を用いて緻密に描かれた街並み、晴朗な空や輝く水面、そして共和国時代の栄華をしのばせる祝祭の光景など、カナレットが残した数々のヴェドゥータを通じて、現在も変わらぬ姿をとどめる世界遺産の街・ヴェネツィアを体感するようにご覧いただきます。

  3. 描かれ続けるヴェネツィアの魅力。ホイッスラー、ブーダン、モネが描く「水の都」 カナレットの没後、ヴェネツィアはどのように描かれ続けてきたのでしょうか。スコットランド国立美術館をはじめとする英国内のコレクションに、日本国内作品を加えた総数約60点が集結する本展を通じて、絵画に描かれるヴェネツィアの姿の変遷を、20世紀初頭のクロード・モネに至るまでたどります。 

(*1)ヴェドゥータ(景観画)とは 透視図法を用い、主として都市の景観を精密に描いた絵画。名所旧跡を正確に描き出したヴェドゥータは、旅の記念品として、グランド・ツアーでやってきた英国人貴族をはじめとする外国人旅行者に人気を博し、ヴェネツィアやローマで18世紀に発展した。

(*2)グランド・ツアーとは 貴族の子弟が教育の仕上げとして数か月から数年をかけて文化の中心地を巡った周遊旅行。 

この紹介にある通り、精密・緻密にヴェネツィアの名所・景観が描かれている。思わず近くに寄って、その筆致を確かめてしまう。

カナレット《サン・マルコ広場》1732-33年頃

カナレット《カナル・グランデレガッタ》1730-39年頃

カナレット《カナル・グランデレガッタ》1730-39年頃

カナレット《カナル・グランデレガッタ》1730-39年頃

カナレット《カナル・グランデレガッタ》1730-39年頃

カナレット《カナル・グランデレガッタ》1730-39年頃

カナレット《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》1760年

カナレット《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》1738-42年頃

カナレット《ロンドン、テムズ川、サマセット・ハウスのテラスからロンドンのザ・シティを遠望する》1750年頃

カナレット《ロンドン、北側からウェストミンスター橋を望む、金細工師組合マスターの行進》1750年頃

カナレット《ローマ、パラッツォ・デル・クイリナーレの広場》1750-51年頃

カナレット《ナヴォナ広場の景観》1750-51年頃

カナレットの版画(エッチング)も精緻で、目を奪われる。

カナレット《ドーロ風景》1744年以降に刊行

カナレットをはじめ、当時の画家たちが使っていたカメラ・オブスキュラも展示されている。

カナレットはイギリスの風景画家ターナーにも影響を与えている。そしてさらに時代は下り、19世紀後半の印象派・新印象派のフランス人画家たちが描くヴェネツィアの風景画もいくつか展示されていた。

ブーダンカナル・グランデヴェネツィア》1895年

モネ《サルーテ運河》1908年

シニャックヴェニスサルーテ教会》1908年

もともと絵画としての地位の低かった風景画を、カナレットの景観画が引き上げたと言っていいのかもしれない。