金沢工業大学の稀覯(きこう)書コレクションの中から、科学・数学の分野で新たな知の地平を切り拓いた初版本が展示されている[世界を変えた書物]展に行く(PDF チラシ)。会期終了直前ということもあり、会場である上野の森美術館の中は、かなりの人でごった返していた。
『プリンキピア』『種の起源』に留まらず、重要な数々の初版本の展示には、理系はもちろん、理系でなくても興奮させられることだろう。コペルニクス、ニュートン、ケプラー、パスカル、ダーウィン、メンデル…。もちろんその内容は全く理解できない訳だが、科学史に残る数々の発見・発明に関する書物が、数百年前の当時のまま残っているのだ。しかもこれが無料とは。展示物の撮影も自由で、SNS で徐々に評判を呼んでいったのもうなずける。
高い書庫を再現した展示に刺激を受けたので、ふと思いついて、その足で「東洋文庫ミュージアム」に向かう。上野から車で20分ほど、駒込にある東洋学のライブラリである。
実はここに高い書庫がある。何層にも重なるモリソン書庫は、圧倒的でさえある。そして実際にはたった 10cm の深さなのに、無限に深く続く穴のある回廊。
ちょうど「古地図と浮世絵」の展覧会が行われていた。今年は伊能忠敬没後200年、歌川広重没後160年にあたるそうだ。伊能忠敬の測量によって生まれた日本地図をはじめ(シーボルトが持ち出そうとした地図)、日本で制作された数々の大きな古地図と、伊能忠敬の旅の場所を示す広重の浮世絵とが一緒に展示されている。
ミュージアムとカフェとを結ぶ「知恵の小径」のパネルには、見たこともないような文字が並んでいる。アジア各地の名言集らしい。何と書いてあるのかさっぱりわからず、珍しい文字の形だけを楽しむパネルかと思いきや、近づいてみると、日本語訳がひっそりと示されている。
「知恵の小径」を抜けると、小岩井農場プロデュースの「オリエント・カフェ」。チーズケーキとアイスクリームのセットで、一息ついた。