Muranaga's View

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ステーションワゴンの正統派、ボルボ V60 がフルモデルチェンジ、さっそく試乗してみた

ステーションワゴンが好きで、アヴァンシア(ホンダ)、4代目レガシィツーリングワゴン(スバル)、初代レヴォーグ(スバル)と、15年にわたって乗り継いできた。もう10年も前から、日本製のステーションワゴンが少なくなっており、ラインナップが揃っているのは欧州車のみ。その欧州車もワゴンよりも SUV にシフトしている。日本に住むワゴン好きには、逆風と言ってもよい環境かもしれない。

そんな中、ステーションワゴンの代名詞とも言えるメーカー、ボルボVolvo)から Volvo V60 がフルモデルチェンジして発売された。デザインも一新され、ボルボが「エステート」と呼ぶステーションワゴンの正統な系譜を受け継いでいる。いてもたってもおられず、10月初旬、美術館巡りの帰りに、ボルボのディーラーに寄ってしまった。旧型 V60 と新型 V60 が並べてあるが、明らかに新型のデザインの方がかっこいい。北欧からの「おとなのデザイン」のワゴンという印象である。テーブルはほぼ満杯、そして新型 V60 は非常に人気が高く、予約して行かないと試乗できないらしい。ふらっと入ってすぐに試乗できた Audi A4とは、勝手が違う。その日は展示車(Momentum というベーシックモデル、黒)に乗り込んでみるだけに終わった。

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その後 11月になってから、1泊2日で試乗できるキャンぺーンに Web から申し込んでみたら、早速、ディーラーから連絡があり、「キャンペーンの当選はわからないけど、試乗車が用意できるので来ませんか?」とのこと。3連休の初日に、のこのこと出かけてみた。

試乗車は上級グレードである Inscription(ペブルグレー)。ほぼすべての機能が最初から搭載されているモデルである。乗り込んでみて、最初にびっくりするのは、ドアの厚みである。愛車のレヴォーグ、あるいは友人のパサートなどと比べてみると、2倍くらいの厚みがある。スウェーデンの自然の中、大型のヘラジカやトナカイとぶつかることを仮定した安全性の思想は、こういうところに表れているのだろうか。
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しっかりとしたボディー剛性は安心感がある。足元も頭上スペースもあり、ゆったりとしている。分厚いシャシーに守られて防音効果もあるのだろう、静かな車内空間である。アイシン製の 8速 AT は、変速を感じさせず、滑らかに加速する。1,700kg とレヴォーグやアウディ A4 と比べると 200kg も重い車体であるが、2,000cc の直噴ターボエンジンが車重を感じさせない。18インチの扁平タイヤだが、ロードノイズはさほど拾わず、しなやかなサスペンションの設定で、ドイツ車のようには硬くない乗り心地。アウトバーンを高速で走り抜けるドイツ車とは、また違った設計思想という印象である。北欧の大自然の中を家族で安全に旅をするためのワゴン。僕の中で勝手なイメージが広がる。

安全走行のための機能はテンコ盛り。全車速対応のアダプティブ・クルーズコントロールもあり、今乗っているレヴォーグの EyeSight と比べても遜色ない、あるいはそれ以上のシステムを備えている。今回の一般道の試乗では、高速道路を走っておらず、また渋滞追従もしていないので、前に車がいなくなった時の加速とか、車間が狭まった時の減速がどのように調整されているか、体感できなかった。ネット上にいくつも流れている試乗レポートによると、相当改善されているらしい。

単なる木目ではなく、流木をイメージしたトリムに代表されるように、インテリアも北欧を感じさせるもの。スカンジナビアン・デザインと言われているらしいが、冬が長い北欧らしく、内装の色も明るい。運転席・助手席ともにマッサージ機能が備えられている。従来の10キーのインタフェースは使いにくそうだったが、9インチのタブレットのようなタッチパネルのインタフェースで、すべての設定を行うようになっている。フル液晶のメーターには、真ん中にナビゲーション画面が表示される。またフロントウィンドウには、認識した道路標識やナビの矢印が表示される。カーナビは三菱製。

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車幅は 1,850mm に抑えられている。『V60 のすべて』によると、日本の販社からの要望に従い、日本の立体駐車場に合わせて、幅を抑えたらしい。うちの立体駐車場も 1,850mm までであり、V60 も検討候補になり得る存在となった訳である。荷室は広いが、レヴォーグと違って、ゴルフバッグを真横に積むことはできない。複数人で乗り合わせてゴルフに行く、というライフスタイルではないのだろう。

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ボルボというと、1990年代に深いグリーンのステーションワゴンをよく見かけた。四角くて丈夫、安全な車。そういう印象を持っている。1995年に米国に滞在した際、米国でボルボのワゴンを買って、そのまま日本に持って帰る人がいた。その方はお医者さんだったが、当時出たばかりの V70 はセレブに人気のあるブランドだったと思う。その頃は 1ドル 100円を切る円高でもあり、日本で買うより、お得だったらしい。中古のアコードに乗っていたメーカーからの研究員(「新入社員におじさんが思い出話を語る - Muranaga's View
」)とは発想が違う。

その後、経営が厳しくなって、資本としては中国の会社になってしまったが、見事に業績を回復し、そのブランドを復活させたと思う。

昨今の SUV ブームのおかげで、ステーションワゴンは少なくなった。日本車ではスバル・レヴォーグとマツダ・アテンザくらいしか残っていないし、欧州車でさえ、ワゴンよりも SUV がメインストリームになっている。今やマイノリティとなったステーションワゴン好きには、V60 は正統なワゴンの系譜を継ぐ堪らない車である。とは言えずっと日本車を乗り継いできた身からすると、外車の値段、コストパフォーマンスには尻込みするものがある。Volvo にしろ、Audi にしろ、同じ機能を持つ日本車の 1.5倍から 2倍の値段はする。確かに日本車にはないデザイン、雰囲気、体験が、欧州車にはある。要するに「仕様」ではなく、「体験(experience)」 のもたらす価値を、自分がどう評価するか、ということになるのだろう。また V60 は 5年間保証というのも魅力的である。

ボルボのディーラーの雰囲気は、スバルとは全然違う。ボルボは夫婦連れ、家族連れで来ている方たちが多いのに対し、スバルは旦那さん・お父さんが一人で来ている方が多い。今回、のこのこと試乗に出かけてきたおかげで、2時間近く捕まってしまった。V60 は相当の人気車らしく、売れ行きも好調、色や仕様も限定される。そんな中、「今日、決めてもらえれば」と、下取りの見積もりが上がっていく。決算期になると、こういう人気車でもちゃんと値引きをしてくれるんだなー、と認識。愛車のレヴォーグは今年車検を通したばかりだし、来年にはフルモデル・チェンジを控えている。まずはレヴォーグの後継と V60 とを比べてみることになるだろう。

Vol.65 ボルボV60 のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報 インポートシリーズ)
Vol.65 ボルボV60 のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報 インポートシリーズ)

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