Muranaga's View

読書、美術鑑賞、ときにビジネスの日々

横浜美術展巡り:「院展」(そごう美術館)、「イサム・ノグチと長谷川三郎」(横浜美術館)、「山口晃 昼ぬ修羅」(横浜能楽堂)

地元横浜の美術展巡り。

まずはそごう美術館「院展」を観る。多くの日本画が並べられているのを眺めていると、そもそも「日本画って何だろう?」と考え込んでしまう。西欧から「洋画」が入ってきて、その対比として「日本画」という概念が成立した。当時は主題・様式・技法の点で、洋画との違いは明らかであっただろうが、今、院展に並ぶ日本画と洋画との境界線がどこにあるのか、わからなくなってしまいそうだ。強いて言うなら、画材・絵具の違い、だろうか。

f:id:muranaga:20190202114939j:plain

ランチの後は横浜美術館「イサム・ノグチと長谷川三郎展」を観る。1950年代に出会って意気投合した二人は、一緒に旅に出かけ、お互いにインスパイアされた作品を残している。

f:id:muranaga:20190202131553j:plain

f:id:muranaga:20190202131719j:plain

そしてそこから横浜能楽堂へ。これは単に大和絵師・山口晃の追っかけである。特別展山口晃「昼ぬ修羅展」で、数点の作品を観る。相変わらず展覧会の開催までに作品の完成が間に合わなかったようだ。2013年の水戸芸術館の展覧会でも、2015年の馬の博物館の展覧会でも、一部未完の作品が残されており、展覧会の期間中にも作業を続けているような状態だった。山口晃は、今年の NHK 大河ドラマ「いだてん」のタイトルバック画にも採用されている。

f:id:muranaga:20190202141627j:plain

f:id:muranaga:20190202142439j:plain

f:id:muranaga:20190202142501j:plain

f:id:muranaga:20190202142356j:plain

実は横浜能楽堂に来るのは初めて。公演が行われていなかったこともあり、中を見学することができた。

f:id:muranaga:20190202141816j:plain

f:id:muranaga:20190202141844j:plain

f:id:muranaga:20190202141907j:plain

yokohama.art.museum

bijutsutecho.com

ynt.yafjp.org

mizuma-art.co.jp

www.cinra.net

新しい花粉症の薬を試すか、ビタミン D を摂取するか

1月末、そろそろ花粉が飛び始めているのを、わが花粉センサーである目が感じ取っている。20代半ばの頃からだから、もう 30年以上、花粉症に悩まされ、毎年この時期は抗ヒスタミン剤のお世話になっている。20年近く、あまり深く考えずに、鼻水を止めてくれるエバステルを処方してもらっていたのだが、実はこの薬は 1995年発売のもの。最近はもっといい薬が出ているのではないか?と考え、今年は新しい薬にトライしてみることにした。

選ぶ条件は、1日1回、1錠でよいこと。できるだけ眠くならないこと。医師と相談して、2017年に出たルパフィンを選んでみた。はてさてどういう結果になることやら。本来ならば、花粉が飛ぶ前からこの薬を飲むべきなのだが、今年はちょっと違う実験をしてみている。

『花粉症は1週間で治る! 』という扇動的なタイトルの本があり、花粉症に反応しない体に変える食事療法(オーソモレキュラー)で、医者である著者自身が完治したという。ちょっと怪しげで、半信半疑、というかほとんど信じていないのだが、要するにビタミン D で花粉症が治るという。1日 2,000 IU を目安に摂取すると、早い人なら 1日で効果を感じられるらしい。

実は2年ほど前、認知症予防に効くとかで、ビタミン D のサプリメントを買ったことがあるのだが、結局飲まずにそのままになっていた。それを数日前から飲んでみている。対照実験の都合上、しばらく花粉症の薬は飲まずに、ビタミン D の摂取のみを続けてみるつもりだ。もしこれで効果があるようなら、花粉症の薬は飲まないで済むかもしれない。まぁ、その淡い期待はきっと脆くも打ち砕かれることだろう。

何だか怪しげなタイトルの本。

オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)に基づく療法で、食べるものを変えることで体質も変える、花粉症に反応しない体になれるという。
たんぱく質をとる(ただし乳製品は控える)
・質のよい脂質をとる
・糖質は控える
・ビタミン D を摂取する
・腸内環境を整える
・女性は鉄、男性は亜鉛をとる
・摂取量のポイントは、体にとって理想的な量であること

最後のポイントなど「何も言っていないに等しい」と突っ込みたくなるが、医者である著者自身が、このアプローチで完治したという。

muranaga.hatenablog.com

answers.ten-navi.com

info.ninchisho.net

www.ejim.ncgg.go.jp

人生初のライブ大相撲観戦は、平成最後の天覧相撲

友人がチケットを手配してくれて、初場所中日八日目(取組結果)の大相撲を国技館で観戦した。実は人生初のライブ大相撲観戦である。そしてこれがたまたま天覧相撲の日と重なった。おそらく平成最後の天覧相撲になるのだろう。

国技館は会社の株主総会で行ったことがあるだけ。両国駅から幟の立ち並ぶ国技館に向かうと、いやがうえにも気分が高揚する。向こう正面 1階の升席。たどり着くまでに、結構うろうろしてしまった。

f:id:muranaga:20190120145837j:plain

f:id:muranaga:20190120151506j:plain

f:id:muranaga:20190120153821j:plain

友人たちとおしゃべりしながらの観戦、他のスポーツと違って前のめりにならず、何だか緩やかでいい感じ。今場所は、稀勢の里が引退し、鶴竜が休場、白鵬が一人横綱で頑張っている。世代交代の時期を迎えており、若手力士には頑張って欲しい。とは言え、最近は人気力士しか、顔と名前が一致しない。

f:id:muranaga:20190120154505j:plain

f:id:muranaga:20190120154511j:plain

今日の取り組みで、僕が最も注目していたのは、貴景勝 対 阿武咲 のライバル対決。先場所、貴景勝が優勝して、ライバルに先を越された阿武咲。どんな取り組みになるのだろうか。立ち合いからの激しい突っ張り合い、そして貴景勝の完勝だった。

f:id:muranaga:20190120172948j:plain

中入り後、天皇皇后陛下が席に座られた。一つ一つの取り組みを丁寧に観戦されているご様子。弓取りまでをご覧になって、席を立つ時は、何度も何度も手を振られていた。ご高齢での公務、本当に大変だと思う。人生初の大相撲観戦が天覧相撲になったのも、幸運だった。

f:id:muranaga:20190201003704j:plain

さて、升席におとな 4人で座るのは、結構狭い。普段、あぐらをかくことに慣れていないし、体も硬いので、ときに席を立ってストレッチ。家でテレビ観戦する方が、体は楽。しかし応援する力士の名前が飛び交うライブ観戦は、独特の雰囲気があって楽しかった。大阪から来たらしいグループからは、「豪栄道ー!」の掛け声が何度も繰り返され、かなり目立っていた。取り組みの合間に、お土産として湯呑セットを購入。引退した稀勢の里の名前入り。

f:id:muranaga:20190126220051j:plain

観戦後の夕食は、当然、ちゃんこ鍋。両国駅近くの「ちゃんこ霧島」にて。元大関の霧島が顔を出してご挨拶してくれた。相撲三昧の楽しい休日でした。チケットを手配してくれた友人に感謝!

f:id:muranaga:20190120205207j:plain

f:id:muranaga:20190120182718j:plain

www.sumo.or.jp

昔と違って、若手力士の名前と顔が一致しないので、大相撲初場所観戦の予習用に。

10年ぶりに Bluetooth のワイヤレス・イヤホンを使う

1年半前に購入した iPhone 7 plus のイヤホン(ヘッドフォン)接続が不調となり、イヤホンからはまったく音が聞こえず、iPhone 内蔵のスピーカーから音が出るようになってしまった。これでは公共の場で音楽を聴くことができない。Lightening - イヤホンジャックの変換ケーブルを交換してみたのだが、イヤホンから音が聞こえるようになったものの、音量が小さ過ぎて役に立たない。となると、Lightening 端子の接触の問題か?

どうやら Lightening の端子で充電はできる。PC とつないで iTunes とも接続できる。しかしイヤホンの接続だけができない、もしくは接触不良で音が小さい。そんな症状である。困った…。

修理に出すのが正解なのかもしれないが…。とりあえずの回避方法として、Bluetooth イヤホンを使ってみることを思いついた。実は10年ほど前に Bluetooth 接続でイヤホンを使ったことがあるが、充電する手間が面倒だし、充電を忘れると全くの役立たずになるので、結局は普通の有線のイヤホンに戻っていた。

昔使ったものはもう電池が駄目になっていたので、今回、最近の Bluetooth イヤホンで、数千円で買えるエントリークラスのものを試してみることにした。左右独立分離型の「完全ワイヤレス」も未来的でかっこいいが、高価なうえに、耳から落としてなくしそうな気がしたのだ。

JBL のものを選んだが、電車の中で音楽や語学番組を聴くには十分の音質である。久しぶりに Bluetooth イヤホンを使ってみたわけだが、これほど音質がよくなっているとは思っていなかった。しかも 2時間の充電で 8時間使える。また個人用・会社用 2台の iPhone を同時に待ち受けできるのも便利である。

気になる点は、混んだ電車の中では、時に音が途切れたり飛んだりすること。そしてどこかに置き忘れそうな大きさである。とは言っても、その利便性を考えると、許容範囲である。

こうして、とりあえずイヤホンの接触不良問題は、Bluetooth ワイヤレス・イヤホンにより解決(というより回避)できた。本当は修理に出すべきなんだろうな.。でも混んでいるに違いない Genius Bar を予約して、指定された日時に出かけるのは面倒だしなぁ。どうしたものだろう…。

muranaga.hatenablog.com

muranaga.hatenablog.com

イヤホンの接続が不調のため、10年ぶりに Bluetooth イヤホンを使ってみた。JBL E25BT のデザインを改良したバージョン。電車の中で音楽や語学番組を聴く分には、十分な音質。携帯性にも優れている。失くさないように気をつけたい。

美術鑑賞に単眼鏡を使うのは、これまでにない新鮮な体験だった

自分のような美術鑑賞の素人に単眼鏡は必要ないと思っていたのだが、混雑して絵に近づけなかったり、細密画の中に描き込まれたものを確認したかったり、という経験もあって、ついに単眼鏡を使うことにした。

日本の光学機器メーカーである Vixen のもので、最も携帯性に優れたモデルを選択。暗い美術館で使うことを想定して、4倍の倍率で、明るいものを選んだ。

f:id:muranaga:20190118004219j:plain

f:id:muranaga:20190118004143j:plain

f:id:muranaga:20190114143945j:plain

黒・赤・青の三つのモデルがあり、一番安いのは黒だが、色に魅かれて青を購入。青と赤のモデルには、ソフトケースではなく、ハードケースがついている。通常は、ハードケースに入れた本体を首からぶら下げて持ち歩く。使う時は、本体から外したレンズカバーをハードケースに収納、そのハードケースを首からぶら下げたまま、本体を覗く。

このモデルは Artscope という名前がついている通り、美術鑑賞を想定して作られている。最初に威力を発揮したのは三菱一号館美術館「フィリップスコレクション展」、肉眼だけではわからなかった筆の使い方が見えてくる。そして超細密画の「吉村芳生展」では、詳細に書き込まれた鉛筆の筆致を確認することができた。

絵を観る時は離れた場所から絵の全体を眺めることが多いが、そこから動かずに単眼鏡で細部を確認できる。そしてまた単眼鏡から目を外して全体を眺める。つまり同じ場所に立ったまま、マクロとミクロの視点を切り替えることが可能であり、そんな使い方ができることが新鮮だった。また絵の説明書きが小さ過ぎる時も、絵に近づくことなく、読むことができる。単眼鏡による美術鑑賞は、これまでにない体験を僕にもたらしてくれた。

美術鑑賞のカリスマ・ブロガー、Takさんこと中村剛士さん(「青い日記帳」)が、単眼鏡の魅力を詳しく紹介しているので、参考にされたい。

www.kenko-tokina.co.jp

muranaga.hatenablog.com

黒・赤・青の三つのモデルがあり、一番安いのは黒だが、色に魅かれて青を購入。ハードケースがついている。美術館・博物館で、より詳細に観る時に使う。肉眼だけではわからなかった筆の使い方が見えてくる。

離れた場所から絵の全体を眺め、そこから動かずに細部を確認する。そしてまた全体を眺める。そんな使い方ができる。

また絵の説明書きが小さ過ぎる時も、絵に近づくことなく、読むことができる。

使う時は、レンズカバーをハードケースに収納し、ハードケースを首からぶら下げたまま、本体を覗く。

購入順に並べられた「フィリップス・コレクション展」、超細密の鉛筆画「吉村芳生 超絶技巧を超えて」展、広々とした東京駅丸の内駅前広場

米国で最も優れた私立美術館の一つとして知られるワシントンのフィリップス・コレクションは、裕福な実業家の家庭に生まれ、高い見識を持つコレクターであったダンカン・フィリップス(1886-1966)の蒐集による。三菱一号館美術館にて、開催されている「フィリップス・コレクション展」は、その購入順・所蔵順に並べられた展覧会になっている。

f:id:muranaga:20190114125244j:plain

f:id:muranaga:20190114132902j:plain

巨匠と呼ばれる著名な画家たちの作品が、年代順でもなく、ある意味、ランダムに目に入る。次々に現れる絵を遠目に見ながら、「あ、この作品の画家はこの人だろうな」と推定するのが楽しい。またコレクターの好みの変化や、世界恐慌・戦争などのできごとが購入に与えた影響、そういったものを感じさせる。個人的には、シスレーの「ルーヴシエンヌの雪」に描かれた雪景色、そこに使われている青が印象に残った。

f:id:muranaga:20190114130207j:plain

mimt.jp

mimt.jp

丸の内から東京駅まで足を延ばし、東京ステーションギャラリーで開催されている「吉村芳生 超絶技巧を超えて」展を観る。超細密の鉛筆画の作家である。鉛筆で写真のような絵を描く。色鉛筆で描かれた数々の花。大作が揃っている。そして何百枚もの自画像。毎日描かれた自画像もあれば、新聞紙に描かれた自画像も多い。よく見ると、その新聞自体が一字一字、鉛筆で細かに再現されていたりする。

f:id:muranaga:20190114134108j:plain

f:id:muranaga:20190114141109j:plain

f:id:muranaga:20190114141444j:plain

www.ejrcf.or.jp

長らく工事中であった東京駅の丸の内駅前広場、そしてそこから皇居に向かう行幸通りには、整備されてから初めて来た気がする。広々としたスペースをしばらく散歩する。

f:id:muranaga:20190114150639j:plain

f:id:muranaga:20190114150901j:plain

f:id:muranaga:20190114150751j:plain

f:id:muranaga:20190114150830j:plain

www.metro.tokyo.jp

バロックの巨匠の構想と技術に圧倒される「ルーベンス展」(国立西洋美術館)

上野の国立西洋美術館で、バロック美術の巨匠、「王の画家にして、画家の王」と呼ばれたルーベンス(1577-1640)の史上最大級の展覧会「ルーベンス展」が開催されている。フランドルの宮廷画家であるが、若き日にイタリアに滞在して、古代ローマルネサンスの芸術を深く研究しており、今回はイタリア美術との関わりに注目した展覧会になっている。ルーベンスは、宗教画・歴史画・肖像画、そして風景画、あらゆるジャンルの絵を、アントウェルペンの工房から、弟子たちを使って多数生み出した。さまざまな技法を使い分けた躍動感あるダイナミックな作品の数々、ドラマティックに神話や聖書の世界を描いた構想力のある作品の数々に、とにかく圧倒される。

f:id:muranaga:20190112100158j:plain

ルーベンスの絵の迫力に圧倒されたので、ちょっと心を落ち着けるために、「Cafe すいれん」にてランチ。ここから見える美術館の建物と中庭は、絵になる風景だと思う。

f:id:muranaga:20190112114345j:plain

ランチの後は、久しぶりに常設展を観てまわる。常設展では西洋美術を年代順に観ることで、変遷していく絵画の歴史をたどることができる。

f:id:muranaga:20190112122610j:plain

f:id:muranaga:20190112122820j:plain

f:id:muranaga:20190112122654j:plain

それと同時に、世界遺産となったル・コルビュジエの建物自体も見学することになる。

f:id:muranaga:20190112100204j:plain

f:id:muranaga:20190112123446j:plain

帰途、いつもは閉まっている日本芸術院会館の門が開いていることに気づき、ちょっとビックリ。中を覗いてみると、創立100年ということで、ちょっとした展示がなされていた。

f:id:muranaga:20190112125237j:plain

ルーベンス展」の余韻にじっくり浸れるムックが「ルーベンスぴあ」。公式図録よりもわかり易く、また親しみ易く、ルーベンスの生い立ちや功績を紹介している。絵の図版も大きい。ルーベンスは画家というだけでなく、5ヶ国語を操る外交官でもあり、イギリスとスペインの和平交渉に貢献したこともわかる。

「王の画家にして、画家の王」と呼ばれたバロック美術の巨匠、ルーベンス。フランドルの画家でありながら、若き20代にイタリアで研究した古代ローマルネサンスの芸術を学ぶ。2018-19年、日本の美術展で史上最大級のルーベンス展が開催されているが、イタリア美術との関係に視点を当てた展覧会となっている。その余韻に浸れるムック。前提知識なしに、画家でもあり、5ヶ国語を話す外交官でもあったルーベンスの姿を知ることができる。絵の図版も大きい。

www.tbs.co.jp

www.nmwa.go.jp