上野の国立西洋美術館で、バロック美術の巨匠、「王の画家にして、画家の王」と呼ばれたルーベンス(1577-1640)の史上最大級の展覧会「ルーベンス展」が開催されている。フランドルの宮廷画家であるが、若き日にイタリアに滞在して、古代ローマやルネサンスの芸術を深く研究しており、今回はイタリア美術との関わりに注目した展覧会になっている。ルーベンスは、宗教画・歴史画・肖像画、そして風景画、あらゆるジャンルの絵を、アントウェルペンの工房から、弟子たちを使って多数生み出した。さまざまな技法を使い分けた躍動感あるダイナミックな作品の数々、ドラマティックに神話や聖書の世界を描いた構想力のある作品の数々に、とにかく圧倒される。
ルーベンスの絵の迫力に圧倒されたので、ちょっと心を落ち着けるために、「Cafe すいれん」にてランチ。ここから見える美術館の建物と中庭は、絵になる風景だと思う。
ランチの後は、久しぶりに常設展を観てまわる。常設展では西洋美術を年代順に観ることで、変遷していく絵画の歴史をたどることができる。
それと同時に、世界遺産となったル・コルビュジエの建物自体も見学することになる。
帰途、いつもは閉まっている日本芸術院会館の門が開いていることに気づき、ちょっとビックリ。中を覗いてみると、創立100年ということで、ちょっとした展示がなされていた。
「ルーベンス展」の余韻にじっくり浸れるムックが「ルーベンスぴあ」。公式図録よりもわかり易く、また親しみ易く、ルーベンスの生い立ちや功績を紹介している。絵の図版も大きい。ルーベンスは画家というだけでなく、5ヶ国語を操る外交官でもあり、イギリスとスペインの和平交渉に貢献したこともわかる。