『闘う経済学』を読んでいる時に、偶然にも昔の上司から『さらば財務省!』を紹介され、一気に読んでしまった。著者は構造改革当時に竹中チームのスタッフであった財務官僚であり、彼から見た竹中大臣の動きが記されている。これでさらに竹中大臣の当時の行動を知りたくなり、結局『構造改革の真実竹中平蔵大臣日誌』を読んでしまった。一人称の回顧録である限り、その記述を鵜呑みにはできないが、学生向けに抑えめに書いた 『闘う経済学』とは違って、抵抗勢力やマスコミとの闘いが時系列順に生々しく描かれている。
僕はこの本を、構造改革論あるいは政策論というよりも、変革におけるリーダシップのあり方の例を示す本として読んだ。キーワードだけ挙げておくと…
「異色のリーダと全幅の信頼を置くスタッフ」「しがらみなく、正論で、王道を行く」「自分の考えに絶対の自信を持つ」「妥協しない・辞める覚悟ができている」「本質をとらえる理解力」「本質を伝えるコミュニケーション」「複雑なものごとに取り組むときはまず原則をまとめる」「抵抗勢力とは別のゲリラ部隊・専門家集団を組織」「苦しいときこそ、部下に理解を示す上司・上司に理解を示す部下」「時にはショック療法で驚かせ気づかせる」「細部まで設計された戦略と実行プラン」「ものごとが動き出す象徴的なできごとの演出」「バッシングに耐えられる精神力」そして「心の支えとなる友人」。
苦しいときに「正々の旗、堂々の陣」ということばを送ってくれる友がいるのは、どんなに心強いことだろう。