右足で地面を蹴るのか、左足を踏み込むのか、「切り返し」のきっかけについて悩んでおり、世のプロたちがどのように言っているか、改めて見直している。もちろん、「切り返し」の前に「深く捻転されたトップ」が確立されていることが前提である。
大御所、「デビッド・レッドベター編」のあとは、「日本のツアープロ編」である。
レッドベターに一番近く、左ひざを戻す動作を切り返しに使っているのは芹澤信雄プロ(チーム・セリザワによるゴルフアカデミー主宰)であろう。
- 切り返しは左腰をターンさせることから始める。
- 左ひざを「ガニ股」にする。左ひざを外側に向ける。
- この動きを入れるだけで、トップで右に乗っていた体重は自然と左にシフトして、力みなくダウンスイングに移行する。
「ダウンスイングは左足や腰の左回転でリードすべきだが、言葉で説明するのは難しい。やり過ぎると下半身が開く危険がある。それなので、まず回転の軸を保つ意識を持つ。軸がずれなければ左足への体重移動もできる。その中で『もう少し左足の踏み込みを意識してやろう』と思えば練習でやればいい。」そういう解説を行っている。
美しいスイングで有名だった伊澤利光プロは、一時期アマチュアを教えていた。切り返しは「腰から静かに」と言う。
- 切り返しは左足の踏み込みから始まる。
- だがフットワークは極力静かに行うことがポイント。
- 少し左足を踏み込むイメージはあるが、強く踏み込んだり、右足を蹴ったりする感覚が強くなると、スイング軸が大きく左に動き、回転力を損なう。
- 腰の回転を強調するのは、上半身の動きと腰の動きが一緒にならないため。捻転差が必要。腰が先に回転して、それに上半身が引っ張られるように動く。
- 昔のように「左にスライドしてから腰を切る」意識はなし。その場でまわる。
そして倉本昌弘プロは、切り返しの練習として、トップの位置で完全に静止してからボールを打つという練習を勧めている。
- 下半身の先行動作をきっかけにダウンスイングに入る。
- トップの位置から上体はそのままに、左かかとを踏み込み、下半身をアドレスの位置に戻す。
- 左かかとの踏み込みは 1センチ上げる程度の小さな動き。
- バックスイングで手がトップに上がり切って止まる寸前に、左かかとを踏み込む。
このように見ていくと、切り返しでは「左足を踏み込む」というのが一般的のようだ。「左ひざをアドレスの位置に戻す」「下半身を元の位置に戻す」といった表現も使われている。そしてその動作を「静かに」行うことを重要視する人が多い。下半身主導だが、回転軸を損なわないことが鍵ということであろう。
スイングリズムを損なわないために、田中秀道プロは以下のように説明している:
- 切り返しでは、一瞬全てが静止する不動の瞬間を作るイメージを持つ。
- 厳密にはクラブが上がっているうちに下半身からダウンスイングが始まるので、動きは止まらない。だが「下半身リード」という言葉に引っ張られて意識的にそう動こうとすると、スイングリズムを損なう。あくまで「下半身リード」は無意識下のもの。
- 切り返しで一瞬の「間」が作れれば、上下の捻転差が生まれるので、「状態がトップの位置に残ったままダウンスイングが始まるような感覚」が生じる。「胸を右にむけたまま、ダウンスイングでクラブが右下に落ちてくる感覚」に近い。
さらに「飛ばし」のコツとして「右サイドで打つ」ことを強調する:
- テークバックの開始からフィニッシュの直前まで、できる限りボールより右側に体を置いてスイングしたい。
- 「切り返しで左に踏み込み、インパクトでは左体重」という教えには否定的。左に乗る意識はゼロ。
- ダウンスイングは「右足ベタ足」で OK。
- スイングは、右、右、左。切り返し・ダウンスイングからフォローまでずっと右サイドに体を置いたままスイングする。
- 右足軸で回転する明治の大砲ではなく、右足に重心を残したまま回転する。
- フィニッシュは左足に完全に体重が乗る。結果的に体重移動は行われている。
「下半身リードや左足を踏み込む感覚はない」ということだが、無意識下の動きになっており、言われてみればそうかもしれないけど、自分自身にはその感覚はないということのようだ。「右足ベタ足」と「左に乗っていく」ことのバランスのとり方が、なかなか難しい。
ゴルフ関連 エントリ
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- ゴルフレッスン・メモ
- ゴルフ・ラウンド日記
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