首都高速 K7(北線・北西線)が開通した時の複雑な横浜港北ジャンクション(JCT)の図(動画によるシミュレーション付き)を眺めていたら、ブルーバックス『図解・首都高速の科学』を読み返したくなった。この本では、首都高速を紙上で擬似ドライブしながら、その歴史や技術を学ぶ。都心環状線、東京と横浜を横羽線と湾岸線で往復、さらに中央環状線、山手トンネルと、歴史順に見てまわることで、建築技術の進歩が感じ取れる構成になっている。
複雑なネットワークを構成する首都高。この本は、ジャンクションがどうなっているかなど、非常に興味深い内容となっている。首都高ナビマップのサイトで JCT のガイドマップ・拡大図を見ると、さらに理解が深まる。
横羽線・湾岸線
- 羽田トンネルでは日本初の沈埋函(ちんまいかん)工法が採用された。陸上で製作した箱状の構造物を水中に沈めて、トンネルを構築する。橋ではなくトンネルにしたのは、河口が滑走路の近くにあるから。
- 高機能舗装は、従来よりも表面の隙間が多いアスファルト舗装であり、車両走行中にタイヤと路面の間で生じるエアポンピング音を小さくすると同時に、水はけがよいので雨の日でも走りやすい。
- 横浜ベイブリッジ付近の海底の支持層が深く急傾斜しているため、新型の大口径掘削機を開発して海底を掘削、最大高さ75mの箱状の構造物を沈め、内側にコンクリートを詰めて橋桁の基礎を構築した。
- 鶴見つばさ橋は横浜ベイブリッジと同じ斜張橋。
- 湾岸線の空港北トンネルを除く3本の海底トンネルはすべて沈埋函工法で作られているが片側三車線の道路が2本すっぽり入る世界最大級の沈埋函である。
- 車両感知器は 5m 離して設置されたセンサーの間を通過する車両の速度を計測する。これが300m-600m間隔で設置され、渋滞を判定する。平均速度が 20km/h 以下なら渋滞(NEXCO の高速道路では 40km/h 以下)。
- 車両の流れ具合は5段階ある。40km/h 以上:自然流(白で表示)、30-40km/h:軽混雑(黄)、20-30km/h:重混雑(橙)、10-20km/h:軽渋滞(赤)、10km/h以下:重渋滞(紫)
- 表示内容は1分間隔で更新される。渋滞が増加傾向にあるか減少傾向にあるかも表示される。
- 事故は平均30回/日(1時間に1回以上)、落下物処理80件/日。
中央環状線
- 中央環状線には、首都高速唯一のロータリーやS字型の斜張橋、2層構造のアーチ橋、山手トンネルなど、珍しい構造物が詰まっている。
- 箱崎JCTにはロータリーが設置され、リムジンバスの方向転換ができるようになっている。
- かつしかハープ橋は綾瀬川を斜めに横断するため、S字型に曲がった曲線斜張橋で世界初。
- 五色桜大橋は2層のアーチ橋。交通振動で発電する世界初の橋。
- 飛鳥トンネルは、開削工法、HEP&JES工法、山岳工法の 3つの工法を駆使して作られた。
- 山手トンネルの全長は約18km、日本最長の道路トンネル。その9割はシールド工法で作られている。出入り口はすべてセンターランプ。切り開き工法により本線のシールドトンネルと連結路のトンネルをつなげる。
- 山手トンネルの換気所は地下にある。
- 中野坂上駅で地下鉄丸ノ内線下を通るが、山手トンネルは2mまで接近する。大江戸線と同時に整備されたので、ホームへのエスカレーターの横を首都高速が通る。
- 避難通路は2本のシールドトンネルを行き来できるように作ってある。