Muranaga's View

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2023年初の美術館巡りは、サントリー美術館から山種美術館へ。国宝の障壁画・日本の風景画を楽しむ

晦日・元旦は老親と過ごし、2日、3日は箱根駅伝を見ながらの寝正月。体重もだいぶ増えたので、4日から活動を開始する。

2023年初の美術館巡りは、サントリー美術館「京都・智積院の名宝」展から、山種美術館「日本の風景を描く」展へ。

「京都智積院の名宝」展は先月訪れているが、展示替えされた後期展示を楽しむ。気兼ねなく何度でも行けるのが会員のメリットである。

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国宝となっている長谷川等伯一派の大きな障壁画群と再会、改めてその迫力を感じる。そして今回は最後に展示されていた《根来塗舎利塔》の精巧な作りに心を動かされた。

前回は HARBS でランチしたので、今回は酢重ダイニング六角にて。窓際の席からの眺望を楽しみつつ、カロリーも気にしながら「鉄板カツ」をいただく。

そして次の目的地である山種美術館へ。特別展「日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫まで―」を見る。

Web サイトより、展覧会概要を引用する:

日本の風景は古くから美術の題材として描き継がれてきました。特に19世紀、江戸後期には、街道が整備され人々の旅に対する意識が増し、日本各地の宿場や名所を捉えた歌川広重の浮世絵風景画が高い人気を得ます。明治に入ると、西洋の写実的な風景画が日本にもたらされたことや、日本各地の風土への関心が高まった風潮により、目の前に広がる身近な自然が描かれはじめます。さらに昭和の戦後には、抽象的な表現や画家の心に刻まれた景色も風景画に取り入れられるようになり、日本の風景の描かれ方が多様化していきました。

本展では、宿場や名所を中心に抒情豊かな風景を表した歌川広重の《東海道五拾三次》や《近江八景》、自然とともに日常を営む人々を取材した川合玉堂の《早乙女》、送電塔の立つ農村風景という現代的な情景を描き出した田渕俊夫の《輪中の村》などをご紹介します。風景画の名手たちが描いた数々の優品とともに、日本の風景の魅力をご堪能いただければ幸いです。

浮世絵の歌川広重に始まり、菱田春章、川合玉堂東山魁夷といった名だたる画家たちが描く風景画が一堂に並ぶ。その様子は『美術手帖』の記事にも紹介されている。

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今回の特別展では、石田武の《四季奥入瀬》の構図・色使いが目を引き、絵葉書を購入した。特に冬を描いた《四季奥入瀬 幻冬》。雪に埋もれる川の水の色の深さが、雪の白と対照的で、個人的にはとても美しく感じた。もともと図鑑のイラストレーションを描いていて、それから日本画家に転じたとのこと。

今回、石田武の名を初めて知った気になっているが、実際には《四季奥入瀬》の《秋韻》と《幻冬》の二つは、おそらく 2020年10月に開催された特別展「東山魁夷と四季の日本画」でも展示されていたものである。したがって今回が初対面ではなく、再会ということになる。当時は東山魁夷の《緑潤う》や《年暮る》の緑や青の色使いが記憶に残っていて、一緒に展示されていた作品の記憶がおぼろげである。今回《四季奥入瀬》の 4枚がすべて揃うことで、改めて印象深く心に刻まれた。

石田武《四季奥入瀬》(1985年)

石田武《四季奥入瀬 春渓》(1985年)

石田武《四季奥入瀬 瑠璃》(1985年)

石田武《四季奥入瀬 秋韻》(1985年)

石田武《四季奥入瀬 幻冬》(1985年)

展覧会の中で撮影可能な一枚は、米谷清和《暮れてゆく街》である。これも 1985年、昭和60年の作品で、渋谷の街が描かれている。今はなき東急東横店南館。手前には西口バスターミナルやモヤイ像も見える。子供の頃から慣れ親しんだ渋谷の街を懐かしく思い出させてくれる作品であった。

米谷清和《暮れてゆく街》(1985年)

心象風景も含むさまざまな日本の風景画が並び、新年早々、清々しい気持ちで美術館をあとにした。