平成最後の美術館巡りは、府中市美術館の「へそまがり日本美術」展。へそまがりな禅画。徳川将軍の下手だけど味のある絵。蘆雪、蕭白、若冲ら「奇想の画家」たちが緩く崩して描いた絵。「へたウマ」「ゆるカワ」な絵が楽しい。丁寧な解説を読みながら、肩の力を抜いて観て回れる展覧会である。
公式図録は市販されていて、その表紙を飾るのは徳川家光の兎の絵。ある意味、ちょっと衝撃的な絵である。

- 作者: 府中市美術館
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/03/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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話題を呼んでいる展覧会らしく、連休中の雨の日であるにもかかわらず、開館時刻を少し過ぎた 10:30 には、最初の方の展示の解説を読む人たちで行列ができていた。無料駐車場も、10:20 過ぎには満車になっていた。その前に滑り込むことができて幸運だった。
併設のカフェでランチを取った後は、甲州街道を東へ上って新宿へ。損保ジャパン日本興亜美術館で開催されている「シャルル=フランソワ・ドービニー展」を観る。ドービニーは印象派の少し前の風景画家であり、バルビゾン派に位置づけられる。実際にはバルビゾンには住んでいなかったが、川辺・水辺の作品が素晴らしい。刻々と変化する水面を素早いタッチで描いたドービニーの作品は、のちの印象派の画家たちに影響を与えたし、また自らもモネらの作品を積極的に評価したとのこと。この展覧会は、印象派の源流となったドービニーの作品をまとめて観るよい機会である。会場で上映されている紹介のアニメーション映像がある:
【東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館】「ドービニー展」紹介アニメーション
この映像でも紹介されているように、ドービニーは船(ボタン号)を入手、アトリエ仕立てにして、川を旅しながら、さまざまな水辺の風景を描いた。重い画材を抱えた移動から解放されての船の旅からは、シリーズものの作品群が作られている。
展覧会の最後には、美術館所蔵のゴッホ「ひまわり」とセザンヌ「りんごとナプキン」が並べられている。日本において、その筆使い、色使いをいつでもじっくり眺めることができる貴重な機会を提供している。